全記事


十月三日木曜日

秋雨に入ったらしく、ここしばらく雨だそうです。むーん。日差しが出ない分、気温は涼しいですが、曇り空が続いていると創作意欲が下がりっぱなしです。むーん。今度は秋雨の気候に体調を合わせていかないといけませんね。

明日は何とか仕事に行き、良い刺激を受けて創作のモチベを回復させたいのですが、うまく行くかしら??とりま、今日は一日お休み。読書か、テレビでも観よう。

書くという作業は、自分自身を見つめ、さらけ出す行為。創作には苦しみが伴う。それは仕方のないことだと受け入れて、書き続けるしかないのでしょうね。自分を見つめ直します。


十月四日金曜日

今日は仕事に行ってきました。ひたすらイラストの練習をこなす日々。この時間が楽しい。ゼロからのスタート。まずは初心者から中級者レベルになれるまでがんばって修行するのだ。描く練習、楽しいからたぶん続けられそう。がんばれ自分。

外出して仕事したおかげで、心の状態は安定してきました。

今日、創作スケジュールを組み立て直し、30分くらいを絵の練習に使い、3~4時間を小説創作に使おうと計画中です。SNSやってる場合じゃないぞ私!!スマホを置いて修行するのじゃ!!

バランスのいい創作活動人生を送りたいですね。

とりま今日はお疲れさま、私。よくがんばりました。(自画自賛は大事!)


十月七日月曜日

今日の仕事は手のデッサン練習でした。めっちゃ難しかったぜ……。

スタッフさんから「一日何分よりも、絵を描き続けた時に、疲れたな、イヤだなと思った時点でその日は練習を切り上げた方がいい」とアドバイスを受けました。なるほどー。私の創作活動もそれくらいのスタイルにした方がいいのかもしれない。

気負わず、気楽に、仕事とプライベートの努力を掛け持ちしていく日々を模索中です。

今日はなかなかの収穫でした。


十月八日火曜日

久しぶりに小説を執筆した。夕方までに約2000字ちょい。断念していた作品に再び取りかかっています。予定していた賞には確実に間に合わないのだけど、手探りの状態で執筆を進めています。うーむ、これは作品として完結できるのだろうか??(知らんよ)でも一文字だけでも埋めようとしている私がいます。私の中の、作家志望としての意地だろうか?プロ根性というほどの立派なものではないが(プロになれてないしね)、何とかあきらめずに書き切ることはできるだろうか?まあ、すべては自分次第ですよね。書ける気分の時に書くスタイルで、足掻くだけ足掻いてみます。

がんばれ私。私の作品をこの世に生み出せるのは、私だけだ。(決め顔で言ってみる)


十月十二日土曜日

女子の日になり、くたばってました。やっと回復に向かいつつあるので、今日か明日あたりに創作活動を再開します。

いよいよ今月末の〆切に間に合わなくなってきましたが、過ぎたら過ぎたでしょうがない。何とか完結はさせてあげたいな。

近況としては、個人ホームページをコツコツと作成しております。課金が痛いけど、無料だといろいろ不便なので、思い切って払った。後は独自ドメインを取得したいけど、どうすりゃいいんだ??IT関連は難しいのぅ……。

夕飯後、なにかしら創作を進めたいですね。


十月十九日土曜日

今日は一日、ザ・異常気象!って感じの気候で具合が悪く、夕方のこの時間まで一文字も進まず、でした。むーん。難儀だ。せめて夕飯の後の夜は何か創作しよう。

できるだけ毎日書く体を作っておきたいから、調子が悪い時は一日百字、いや五十字程度でいいので書いていく。毎日パソコンを開く訓練だ!

タイプライターのポメラちゃんも使用して、創作をする時間をなくさないように気をつけよう。

とりま今日はダメダメな一日だったので、ダメなりの創作活動をしようと思います。今日はしょうがないのさ。むーん。


十月二十日日曜日

今日は昨日の気候が嘘みたいによく晴れて、いい天気でした。秋晴れですね~~。日差しがちょい暑いが、風は涼風になりました。ほっ。

さて、今日の私はこの時間までに約2000字ほど執筆。夕飯後の夜も執筆に回して、合計3000字に到達したいなと思ってます。

月末の〆切までに完結できるかどうかはかなり微妙なラインになってしまった。ですが、まあ、なるようになるさ精神で、書き進めます。自分のメンタルを追いつめない訓練!

「人生はニャンとかなる!」って本があったな。いきなり思い出した。懐かしいねえ。

なんだかんだ言って、何とかなるのよ、私たちは。知らんけど。


十月二十三日水曜日

季節の変わり目で寒暖差がいよいよ本格的です。そのためか体調が安定せず、やっぱり今月末の〆切には間に合わない感じです。しょうがないけども、月末までは今の作品に真面目に取り組んでいきます。

どうにか完結できないかしら……?? むーん。とりま昼過ぎになったので執筆に取りかかります。マイペース。マイペース。(呪文)

追記 ただいま夜六時近く。約1500字ほど書けました。夕飯後、またがんばります。マイペース。マイペース。(呪文)


十月二十四日木曜日

季節の変わり目は困りますねー。全然文字数が進まないや。

今は昼三時近く。ここから少しだけでも書き進めたいです。

なにげに、夏から秋になっていくこの時期が一番体調悪いかもしれない。

頑丈な肉体に生まれたかったぜ!!チキショー!!

さて。パソコンに戻ろう。

あ、お昼はイラスト練習をしてました。勉強している私えらいぞ!(自己評価高めスタイル)

ただいま午後五時。1100字ちょい書きました。夜に続きをやります。

ただいま夜十時。1000字ほど執筆。今日の合計は2000字ちょっとです。まあまあだね。ではお休みなさい。


十月二十五日金曜日

今日はものすごく具合が悪くて、丸一日ダウンしてました……。仕事も休んじゃったし……。おーん……。ポンコツ体力が憎い……。

まー、しょうがないよね……。今日は安静にしてます。数文字でもいいから何か書こう……。100字くらいでいいや。

秋の天敵は、この寒暖差だな。季節の変わり目。それが判明しただけでもよしとするか。

お休みの一日にします。おやすみ~~。


十月二十七日日曜日

実は昨日、睡眠の質が悪くてうまく眠れず、メンタルがやばかったけど、今日は何とかマシになりました。何だったんだ、あれ……。

文字数は進められてません。ちょっと執筆は小休止状態。完結はさせてあげたいけれど。

明日は仕事。面談してくれるので、気持ちを整理してうまく伝えられたらいいなあ。

子どもの頃、楽しくて聴いていた歌が、今はバンバン楽曲サブスクで聴けるようになって、懐かしい気持ちに浸っています。今も今で素晴らしい歌がたくさんあるけれど、あの時代の楽曲も名曲が多かったなあ。

音楽はいつの時代でも人の心に刻まれるものである。

私の作り上げる物語も、時代を超えて読み継がれますように。

あまりにも途方もない夢ですね。けれどあきらめたくない夢。本気だよ。いつでも。


十月二十八日月曜日

仕事に行ってきました。外に出れたのでそれだけで気分がリフレッシュ!!外の空気うめー!!

天気は相変わらず曇天ですが、風が冷たくて気持ちいい。秋が深まってきたなあ。

夕飯後は、イラストの勉強をするか、小説創作をするか、その時の気分で決めようと思います。

今日はSNSを見ないで創作に集中するぞ!

お腹すいた~~。


総評

十月は、自分としては小説創作をがんばれた気がします。気温の変化に攻撃されましたが、まあ、毎年のことなので、デフォってことで。

来月は、今取りかかっている小説を完結させる!予定より遅れたけど、さすがに十一月には終わるだろうと希望を立てて、書き進めます。無理しない程度にがんばるのが自分流。

てか秋雨長え!!

秋晴れ早く来てくれ!!



お久しぶりです。しばらくお休みしていました。今日から少しずつマイペースに更新がんばります~~。よろしくお願いいたします。<(_ _)>



九月一日日曜日

九月に入りました~。台風の進路が遅いせいで連日、横殴りの雨です。イヤになるワイ!家に引きこもって新作のプロットをひたすら練り込んでいる毎日です。そろそろ本編の執筆に取りかからないとスケジュールがヤバイので、今日か明日あたりにがんばります!

果たして私は六万字の小説を二ヶ月以内に書き上げられるのか!?

恐怖のスケジュールですが、とりま取り組んでみます。まずはやってから後悔しよう。やらずに後悔するよりは。

ファイトだ私。


九月二日月曜日

今日から執筆スタート!とりま2600字くらい書きました。冒頭部分は飛ばして、美味しいシーンだけ先に書いていく戦法だ!そして後から苦しむのさ!(←)

好きな食べ物は先に食す派です。

もし今回の応募に間に合わなかったら、その時はその時。当日になったら考えます。他にいくらでも応募先は見つかると思って、開き直る!

マイペースに、着実に書いていきます。千里の道も一歩から。ローマは一日にして成らず。

理想通りに行かなくても、書く。それがいちばん大事。

仕事の日だったので疲れてますが、執筆は何とかがんばりました。

今日はお休みなさい、私。スヤスヤ……。


九月三日火曜日

雨です。今日は気温が三十度以下で、めっちゃ涼しく感じます。秋バンザイ!!しかし低気圧なのでとにかくダルイ。おかげで夕方しか執筆できませんでした。文字数は、たったの500字。今日はしょうがない。お休みの一日にしよう。

夜に数行でも増やせたらいいなあ。今日は亀の歩みの日です。

しばらく読書できていないので、本を読もうと思います。明日は明日の風が吹く。休憩!!


九月五日木曜日

今日は積もりに積もった部屋の汚れを掃除し、スッキリしました!真夏の猛暑にやられて掃除ができてなくて、マジで汚部屋になってたから(笑) 綺麗な部屋に戻って爽快ですね!

もろもろの家事を終えたので、夜は執筆に回すとして、夕方は読書しようかなあ。

塩分がほしくなったので、暑いけれどもコーンスープを飲みました。熱い!でも美味い!

TVerで何かのドラマをたまたま視聴し、切なくとも良いお話で泣けました。感動した(泣) 作品タイトルもう思い出せないけど(アホ)


九月七日土曜日

相変わらずストーリー構成が苦手で、展開の方法に戸惑っています(;^ω^)。今日は600字だけ書き、あとはプロットの整理をしてました。

どうにも、設計図を書くというか、組み立てるのに使う脳味噌が足りてないようだ。感性だけで小説が書けたらいいのになあ。そんな天才じゃありません。てへ。

夜は創作時間に当てて、何とかもがきたいと思います。

ファイト一発!


九月十一日水曜日

今日はこの時間(16時半)までに約2000字近く書きました。ほっと一安心です。

昨日までてんやわんやしていたせいで文字数がヤバかったけど、今日は4桁行けて安心です。焦らないのがコツですね。心身を落ち着かせ、挑みましょ。

夕方も少し書き進め、夜もがんばります。がんばれる時にがんばるのじゃ。では執筆始めます。SNS閉じろ私!書け!書くのじゃ!


九月十六日月曜日

数日間、女子の日が続いて痛みとだるさとメンヘラにのたうち回ってましたが今日やっと少し持ち直し、2000字くらいは書けました。毎月の女子の日はキツイのう……。

今取り組んでる短編(中編?)は、間に合うかどうかはさておき、完結はさせてあげたいなと思ってます。せっかく始めたから、終わらせたいよね。未完結ばかり増えていくのはやるせないし。

キラキラ青春ものは根暗な私にとって、書くのがめっちゃムズイです……(苦笑)

まあ、これもいい経験と勉強になったと思って、次に活かします。

合言葉は『亀の歩みが最強!』ゆっくりがんばります!


九月十九日木曜日

三日間、自分の内面を見つめていました。と言えばかっこよく聞こえるけど、要は書けないままでした。

有料創作コミュニティのスタッフさんに話を聞いてもらい、タメになるお話をもらいました。とりま今書いてるやつは再びお蔵入りです。しょうがない。書いてて筆が乗るものじゃないとつらくなるばかりだとアドバイスを受けたので、その通りだなと思って、自分の内面からわき上がる「書きたいもの」「書かざるを得ないもの」にきちんと向き合い、掘り下げてみます。「小説家は執筆で自分自身を救い出してからが本番」だとプロ作家さんがSNSでつぶやいていらっしゃったように、アマチュアの私はまず、自分のための小説創作を楽しんでやりたいです。

焦らずにがんばります。創作をやりながら生きていきたい。


九月二十三日日曜日

今日は新しい作業所の本格利用初日でした。ドキドキして緊張してたけど、イラストの修行をするのが楽しいです。やっぱりクリエイティブな作業をするのが好きなんだなーと再確認しました。お金取れるレベルでは全然ないけれど、いつかはそうなれるように、遠い道のりでもがんばるぞ!!まずはデッサンを楽しんで学んでいきます。この作業所は楽しく長く通い続けたいな。

無理せず、マイペースに、コツコツと練習するのだ。すべては日々の努力だ。あ、楽しい努力ね(笑) 楽しいのが大事。

久しぶりに外出して、外の空気を吸って、良い刺激を受けたので、帰りに創作本を一冊購入。ついでにクロッキーノートも購入。やり続けることが、未来につながる。私はそう信じている。

自分の小説創作も、作業所での仕事も、楽しむことを心がけます。


九月二十六日木曜日

今日は午後から夕方まで執筆。夕方はイラストの練習。夜は二回目の執筆というスケジュールで過ごす予定です。

昼前後の創作だと文字数が進まないよ~。夜に創作がはかどる私は夜型人間ですね。イラスト作業は最大で1時間までにして、午前中にやろうかな?まだまだ計画を模索中です。

疲れたら休む。休みながらがんばる。それがいちばん大事~~。


九月二十九日日曜日

今日は推しの舞台を観劇してきました!ヒャッハー!(観劇ハイ)

気分がいいまま一日を終えたいので、今日の創作活動はお休み。明日から仕事と執筆活動をがんばります!

エンタメを摂取すると気分が上がるし、気持ちもリフレッシュできて素晴らしいですね。

推しはどうしてあんなに可愛いのだろうか???(←キモイオタクの戯れ言)

推し活を楽しくしたいためにも、ほどほどに仕事をがんばってお金を貯めますぜ!

今を生きるからこそ、明日につながる。楽しい物事をたくさん見つけられる大人でありたい。

私の一生はきっとハッピー!(だいぶハイです)


総評

取りかかり中の中編小説を、果たして完結できるのかできないのか、まだ結果が見えていません。〆切に間に合わないかもな……(遠い目)。それでも、何とか最後まで書き上げてあげたい。キャラたちが生きているからね。

九月は物語を完結できない症状から脱却するため、悪戦苦闘した月でした。この戦いは十月に持ち越しですな……。

あと仕事場を変えて、新しい環境にも慣れる期間ですので、来月はマイペースを守りつつ、職場と創作活動のバランスも図っていきたいです。

芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋(やらないけど)、すべてが素晴らしい秋、こんにちは~。



あらすじ

音羽理都《おとわ りと》はリボンや可愛い小物類など、少女や女性が好みそうなキラキラしたものを愛している「少女趣味」を持ち、密かな楽しみとして異性装をしている異性装者《クロスドレッサー》である。ある日、誰もいない教室で一人、イメチェンを図っているところをクラスの女子のリーダー、向田に知られてしまい、からかわれるかと思いきや、話は思ってもみない方向へ転がって――? 自分の好きな格好を自由にやり遂げる、ひとときの青春グラフィティ!


   

 都立青峰《あおみね》高校の制服が自分たちの代でリニューアルされるという知らせは、またたく間に生徒たちの間で広まった。

 音羽理都《おとわ りと》は最初、じゃあ高等部に上がる時にまた制服を買い直さなければいけないのか、余計な金がかかるって言ってた親の気持ちがわかる、と他人事のように感じていたが、いざ真新しくなった制服のデザインを見た瞬間、気分がぶち上がったのだった。

 配られた資料のプリントには、今までの古臭い制服から一新された、モダンな雰囲気を放つブレザー。

 胸元をひときわ際立たせている、深紅のリボンタイは、まさしく赤色が好きな理都にとってこれ以上ないほど、理想的なスタイルだった。

 本当に、美しい制服だ。

 女子だけ。

 そう、女子だけが。

 理都は、一緒に印刷されている男子の制服もチラッと見る。

 こちらも、別にダサくはない。むしろ、いい。体型がシュッとして見えるように巧く計算された、実に見事な出来だ。

 しかし、胸元は、ネクタイ。

 濃紺色の、ほぼ黒に近いネクタイだった。

 理都はそこだけいつも不満である。男子はネクタイ、女子はリボン。女子はネクタイでも変に見えなくて、男子はリボンをつけられない。なぜだ。性差の違いはどこからくるのか。

「リボンつけたい」

 理都は誰にも聞こえないように、ごく少量のボリュームでボソッとつぶやいた。

 理都は、リボンが好きだ。

 その他、ハートマークや、キラキラしたもの、小物類、雑貨類……。およそ「女の子」が好みそうな対象物を、丸ごと愛している。

 音羽理都は、男子だが、可愛いものを身に着けたい。

 誰にも言ったことはないけれど。


    🏫


 理都は自身の性別に違和があるわけではない。男に生まれた自分をそのまま受け入れている。「少女趣味」といわれることが怖いだけだ。

 なぜ怖いのか。

 まず、自分の周りにいる男子は、制服の良し悪しなどこれっぽっちも興味がない。やれズボンの丈がどうとか、アレンジがとか、いちいち気にしない。裸じゃなければいいという程度の認識しか。

 加えて、理都が好きな「キラキラしたもの」にも、興味を示さない。可愛い文房具やシールなど、存在していること自体知らなさそうな関心の薄さである。

 だから、理都がそういったものを好む趣味を知れば、否応なしに「変わり者」認定されるだろう。

 高校は狭い社会だ。人間関係を円滑にするには、まずは周りに埋没することだ。十六年生きてきた人生、理都の世渡り術といえばそれぐらいである。

 理都は今日も、華々しい高校生活を送るでもなく、いっそ地味に過ごしたいという日陰根性を募らせたまま、一日を過ごす。

 登校すると、教室では女子たちが新制服についてさっそく寸評会を行っていた。「このリボン可愛い」「大きさもバランスもちょうどいいよね」「それ! 私も思った―」俺も思った―、なんて台詞は言わない。言った先には地獄が待っている。うわあ、会話混ざりて―、と心の中で女子の輪に羨望のまなざしを向けながら、理都本人は自分の座席に着いて窓の外をぼうっと見つめる。ままならないこの世を憂《うれ》うポーズ。

「音羽―、宿題やった―?」

「ああ、うん」

「見せて」

 図々しく人の課題をねだる理都の友人、江國《えくに》は、鞄からプリントを渡すと我が物顔で奪い取る。自己中も甚だしいが、彼は彼でいいところがたくさんあるため、今のところプラスマイナスゼロ。

 江國は理都の答案用紙をせっせと書き写しながら、器用に口を動かす。

「みんな、制服の話してるなー」

「ああ、うん」

 理都は何気なさを装って江國に同意した。

「どっちがよかった? 前のやつと今の」

「えーっと……、今かな?」

 江國は「ふーん」とつぶやいて、答えを丸写ししたプリントを理都に返した。

「女子はいいよなあ」

 理都はぽつりとつぶやいた。何となく江國には、自分の抱えているちょっとしたモヤモヤを打ち明けてしまいたくなるような、不思議なオーラがあるのだ。

「どうしたん?」

 江國はきょとんとしている。普段は傍若無人なくせに、肝心な時にとても優しく相手に寄り添う彼は、そのマイペースな性格のわりにたいそう周りから好かれる。

「いや、男はスカート履けなくて、女子はスカートもズボンも変じゃなくて、リボンもネクタイも似合うって、ファッションアイコンとして女子は有利だよなあって思っただけ」

「お前、ファッションに興味あったんだ」

「興味っていうか……」

 理都はあいまいに答えを濁す。彼に自分の趣味を打ち明けていいのかどうか、まだ判断はついていない。

 すると江國は一つの提案を出した。

「みんなに見られるのが嫌なら、誰もいない空間で好きな恰好すればいいじゃん」

 寝耳に水だった。理都は、何かの悟りを開いたかのように呆然と目を見開く。

「……そ、そうか。その手があったか……」

「いや、誰でも思いつくかと……」

 江國は若干あきれつつ、「好きな自分でいればいいと思うよ」と理都に答えを示した。

 チャイムが鳴り、担任教師が登壇する。生徒たちが席に着く中、理都はいまだ悟りを得たかのような顔つきでぼーっと友のそばに居座り、担任から注意を食らってあわてて着席した。


   🏫


 放課後、理都は人がまばらになった教室に残った。

 本当は売店に行って、こっそり女子制服のリボンを購入しようと目論んでいたのだが、なかなかこちらの思惑通りに人の数は減ってくれず、売り場には生徒たちが途切れ途切れに来店している。

 仕方なく教室に戻った理都は、さてどうしようと頭をひねる。江國からの助言で行動を起こそうという気にはなったが、いざ人の目があると委縮してしまうのが人情だ。自分に強いハートはない。

 クラスメイトは各々の部活動に行ったらしく、教室には理都が一人残された。ぽつんとなった空間はいつもより広く感じられた。三十ほどある席がずらりと並ぶ景色は、ちょっとした異空間を演出させる。

「リボンつけたい」

 理都ははっきりと口に出した。しんとした教室に自分の声が響き、不思議な解放感が身を包む。気をよくした理都は再び声を大きくして、言った。

「あー! リボンつけて学校行きたいー!」

 ガラッと、引き戸が開かれる音。

 顔を出したのは、クラスメイトの女子生徒だった。

 硬直している理都と、真正面から目が合う。

「……音羽?」

 名前を呼ばれた理都は、蒼白な顔で女子生徒と対峙した。

「……む、向田《むこうだ》」

 向田葉菜《むこうだ はな》だ。女子グループの中心的人物。

 別名、女子のボス猿。向田ボス。

 ――やばい、聞かれた。思いっきり。

 理都は普段使わない脳みそを必死にフル回転させて、窮地を脱出する方法を考え抜いた。

(今のは俺の言葉じゃなくて、演劇の台詞の練習で。いや、誰も信じないだろこんなの。もっとうまい嘘を……!)

「リボン好きなの、あんた?」

 向田は単刀直入に聞いてくる。変に構えないところは彼女の美点だが、今それをやられると反応に困ることこの上ない。

「いや、え、えっと」

 理都はきょろきょろと逃げ場所を探して目をうろつかせる。穴があったら入りたい気分だ。

 だめだ。まったく気の利いた嘘が思いつかない。自分のポンコツな頭は緊急事態の時でもポンコツなままらしい。

「む、向田。これには深いわけがある。俺は決して変態じゃない」

「別に変態なんて思ってないよ」

 向田はしれっと返答し、理都に近づく。身を固くした理都の脇をあっけなくすり抜け、自分の席をあさり始めた。

「忘れ物しただけだから」

 机の中から新品のビニール袋に入れられた、深紅のリボンが出てきた。やっぱり綺麗な色だなと理都は心の中で彼女を羨ましがる。当たり前のように可愛いものを身に着けて、誰からも違和感を持たれない向田の性別が、まぶしい。

 理都がぼうっと自分を見ていたのに気づいたのか、ふっと向田は振り向いた。再びかっちりと目が合った二人は一瞬、無言のまま互いを見つめる。

「音羽」

 口を開いた向田は、しどろもどろになる理都の返事を待たずに、胸元のリボンをピッと外した。

「使用済みのやつだったら、あげるよ。リボン」

「……え?」

 ぽかんとする理都を尻目に、向田はポイっとぞんざいな手つきでリボンを放る。あわてふためいてキャッチした理都に「ナイス」と言い放つと、そのまま教室を出ていった。

「……えーっと」

 リボンが、ある。

 自分の手の中に。

 向田が使っていた例のものは汚れも糸のほつれも見当たらず、まるで新品のように綺麗な形のまま、美しい赤を見せていた。

 心臓がドキドキと脈打つ。突然ふってわいた幸運に、まだ頭が追いつかない。理都は挙動不審になりながらも、一人きりの教室で小さくガッツポーズをした。

 ただ一つ、向田葉菜に自分の趣味を暴露してしまった、想定外の不安だけが気がかりだった。


   2


 理都はひとまずワンピースを羽織ってみることにした。

 GUで購入した黒一色のワンピースは、男の自分が着てもほぼ違和感なく様になるだろうと思い、手に入れたやつだ。

 姿見の前に立ってみると、なるほど、男子が女性ものの服を着ている。けれどダークカラーのためそれほど目に毒ではなさそうな印象を受けた。下にズボンを履けば街へ出てもよさそうだ。

 家にいる間はこの格好でいよう。

 理都はそう決めた。家族は驚くだろうが、話せば受け入れてくれるだろう。

 次は制服である。

 手始めにいつもの男子の制服に着替え、ネクタイを結ぶ場面をリボンに変える。昨日、向田がくれた使用済みのリボンだ。

 ドキドキしながら装着具を外し、襟元に結ぶ。

 出来上がったのは、ブレザーにズボン、深紅のリボンをつけた自分の姿。

 なかなか、いいんじゃないか?

 理都はまんざらでもない気分になった。向田からもらったリボンがやはり存在感を大きくしている。ネクタイよりもこちらの方が、自分に似合う気がするのだ。

 これで学校行きたいなあ。

 そう思っても、自分は男子だ。校則うんぬんより先に、同性からの視線が痛いに決まっている。最悪、仲間外れかもしれない。

 向田は、何のつもりで俺にリボンを渡したんだろう。

 行きつくのは、その疑問だ。あの日以来、彼女と何かしらの進展があったかといえば、まったくない。理都と向田は相変わらず顔見知りのクラスメイト止まりである。それ以上でも以下でもない。謎は深まるばかりだ。

 ひとしきり悩んだ末、理都は普段通りの制服で登校しようと決めた。

 ポケットにリボンをそっと忍ばせて。


   🏫


 朝一番に学校に来たのにはわけがある。

 理都は誰にも見られない時間を見計らい、自分一人だけの教室でリボンをつけてみることにしたのだ。部活の早朝練習で登校してきている生徒を除けば、帰宅部でこんな朝早くに教室にいるのは理都ぐらいの者だろう。

 問題は、誰かに知られたらどうしようという件である。

 理都は慎重に、引き戸を開いて教室に入った。

 部活組はとっくに朝練に出かけたらしく、中は無人だった。心の中でガッツポーズをすると、さっそく自分の席について準備に取りかかる。

 鞄から出したのは、折り畳み式のミラーとリボン、そしてヘアピン。

 どれも色はピンクに水色など、パステルカラーの配色でまとめた。自分を高めてくれる色だ。

 ウキウキしながら鏡を組み立て、手始めに髪の手入れをする。どの角度で髪を留めたら綺麗に見えるか、念入りにチェックして位置を定める。

 理都の前髪は少し長めで、教師に注意されるかされないかギリギリのところでセーブしている。美容院に頻繁に通わないおかげでそうなっているのだが、これはヘアピンをするのにうってつけの理由だなと、理都はほくそ笑んだ。

 五分弱ほどで、髪型が決まった。右側の髪を留め、残りの毛先を軽く流す。ヘアサロンの雑誌でよく見かける髪型である。名前は何というか知らないが、理都もやってみたいと密かに憧れていたスタイルである。

 ふんふんと上機嫌に鼻歌を歌い、ついでに色つきのリップクリームを唇に乗せた。今までの自分より数段華やかな雰囲気をまとった顔が、そこにある。

 最後に、ネクタイを外して、リボンをつけた。

 鏡に映るのは、普段よりいくらかイケてる自分だ。

 これだ。これをやってみたかったんだよ、俺は。

 理都の気分はすっかり上々で、せっかくだしスマホで自撮りでもしようと鞄をあさった。

 教室の引き戸が開かれる音。

 びくりと飛び上がった先に、見えたのは向田葉奈の姿。

 きょとんとした彼女は、理都の今の格好を見ても特に表情を変えず、

「おう」

 と、男らしい挨拶をした。

「お、おう」

 ドギマギしながら、理都は冷や汗を浮かべる。

「リボン、さっそくつけてるんだ」

「お、おお」

「髪型ちょっと変えた?」

「ヘ、ヘアピンを、少し」

「そうなんだ。うん、似合ってるよ」

 向田はしれっとした表情で褒め言葉をかけてくれた。普段は女子とうるさいくらい騒ぐのに、このクールぶりはいったい何だろう。

「あの、あんまり言わないでね。特に男子には」

「別に言いふらしたりしないよ。音羽はこっちの方が音羽っぽいし」

 俺っぽいとは? と疑問が頭に浮かぶが、とりあえずうなずいておく。

「自撮りしておいたら? あ、何なら撮ってあげようか?」

「む、向田が?」

「他に誰もいないよ」

「そうっすね」

 緊張しながら彼女にスマホを手渡す。向田はまるで自分の持ち物のように慣れた手つきでカメラを起動し、こちらにレンズを向けた。

「ちゃんとロックかけた方がいいよ」

「はい」

 とにかく微笑んでいれば良い写真が撮れるだろうと、理都はニコッと笑ってみるが、

「証明写真みたいになると嫌だから、角度変えるね。ちょっと斜めを向いてくれる?」

 向田にあえなく却下された。

 ヘアピンを目立たせる形で顔の角度を決め、「あまり笑い過ぎないで。ちょっと口角を上げる程度」と向田から厳しい指摘をもらいつつ、理都の写真は出来上がった。

「おお……。すごい」

「少し加工するね」

 向田は機敏な動作で画像の鮮度を上げ、後ろの背景をぼかした。

「完成」

「すごい……。ありがとうございます」

 スマホを返され、液晶画面に見るのはいつもの自分ではなく、バージョンアップされたお洒落な男子生徒。

 こういう表情、できるんだな、俺。

 理都は何だか、こそばゆい気持ちになった。

 向田葉奈は、人を撮影するのがとても上手だ。

 全員が彼女みたいに撮れるわけではないだろう。向田は、カメラの才能があるのかもしれない。

「向田、写真撮るの、すごくうまいな。センスあるよ」

 かっこつけて言い、振り返った時には、向田葉奈の姿はとうになく、教室を出て行った後だった。


   🏫


 それ以来、理都と向田の関係はどうなったかというと、まずまずの進展を見せた。

 理都のイメチェン姿が晒されるような事態もなく、毎日は単調に過ぎていった。いっそ肩透かしなくらいだ。

 あれから理都は教室で服装を変えることはせず、人のいない多目的ホールに内緒で入って、一人だけのファッションショーを楽しんでいた。そこはほぼ空き教室になっており、授業の目的で使われる機会もめったになかった。理都は秘密の隠し部屋を見つけたような気分になっていた。

 しかし、自分一人の楽園は、あっけなく終わりを迎える。

「音羽、いい話があるの」

 神出鬼没の向田は、またもや理都の秘密基地を探し当て、天地がひっくり返るような話を持ちかけたのだ。

「文化祭のランウェイ、出てみない?」

 理都は文字通り、ぽかんとした顔になった。およそ自分とは程遠い世界の話が降ってきて、何なら軽く昇天しかけた。

「ラ、ランウェイ……? 文化祭……? 選ばれた人間しか出られない、パリピしか歩くのを許されてない、あのランウェイ……?」

「いや、そんな大げさなものじゃないし」

 向田が否定しても、理都にとっては文化祭の出し物の大目玉、生徒たちが作成した花道ステージに、生徒たちが自主制作したファッションを身にまとって登場するという企画自体、住む世界の違う住人たちにしか入れない話題である。

 理都はとたんに目の前が真っ暗になっていく感覚を覚えた。

「いや、俺は、文化祭はサボる予定でして」

「青春してないなあ」

 向田はあきれたように息を吐いた。

「音羽がメイクした写真、生徒会に見せたんだけどね」

「え、見せた? 嘘つき! バラさないって言ったのに!」

「まあまあ。不特定多数にバラしたわけじゃないから。それで、生徒会長が、けっこういい線いってるから文化祭の目玉企画、これで行こうって」

「はい?」

「音羽、出なよ。ランウェイ」

 有無を言わせない向田の圧力。まるでこちらが断る選択肢など最初からないと言わんばかりに断定された台詞。彼女が女子の集団をまとめるリーダー格なのもうなずける。

 どうしよう。絶対いじめられるじゃん、俺。

 小さい頃から培われた被害妄想力とネガティブ思考をふんだんに使い、理都は絶句した。


   3


 放課後、理都は向田たちの軍団につるし上げられた。

 リンチされたわけではない。が、リンチも同然だ。ほとんど話したことのない男子と女子に囲まれ、巨大メジャーで体の寸法を測られ、身長を測られ(一七〇センチだと暴露された)、股下も測られ、服のサイズも白状させられた。拷問である。

 そして理都にはおよそ縁のない、華やかすぎる洋服やデパートで売られてそうな派手な帽子、ジャラジャラしたアクセサリー、その他諸々を着させられたり脱がされたり、ああじゃないこうじゃないと周囲から着せ替え人形のように扱われた。

「音羽、かっこよく歩いてみて」

 先陣を切って全体を指導している向田が、地獄のような台詞を言ってのける。

「かっこよく……? へ……?」

 理都は直立不動のまま木偶《でく》の坊よろしく突っ立っている。

「モデルみたいに歩いて」

「モデル見たことないし……」

「……テレビでも雑誌でも? ネットも?」

「うん……」

 向田たちは目を白黒させた。そんな人間がいるのかと顔に書いてある。珍種発見、と頭の中で思っているに違いない。

「じゃあ、ここの教室をまっすぐに進んでみて」

 彼女の指示通りに動くが、みんなに見られている緊張からか、いつも以上にかくかくした動きになっているのが自分でもわかった。

「二足歩行に成功したロボット……」

「手と足が一緒に出てる……」

 ぼそぼそと陰口が飛び交う。失礼な。

「音羽、普段の通りにできないかな?」

 向田が注文してきた。

 そうは言っても、人には向き不向きがあるのだ。

 理都は半泣きでかっこよく歩いてみるが、泣きべそ顔の状態で決められても間抜けなだけである。向田たちは「うーん」と頭を抱えてしまった。理都も頭を抱えたい。

「よしっ」

 生徒会メンバーの一人が発声よく声を上げた。長身のイケメンがこちらに熱い視線を送っている。彼は確か、堀《ほり》と名乗ったはずだ。

「特訓だ!」

 何の? とは聞けなかった。聞かなくてもわかるし、聞けるような気安い関係性でもない。

 そもそも、あなたが出演すればいいのでは? イケメンなんだから。

 なんてことは口が裂けても言えない理都だった。


   🏫


 堀はその日からさっそく、福永《ふくなが》という男子を連れてきた。彼も堀に負けず劣らずの魅力的な外見を持った男で、だから俺じゃなくて君たち二人がランウェイ歩いたらいいじゃないと、理都は再びひねくれた。

 しかし気弱な理都に、イケメンに対抗できる術はない。カツアゲよろしく二人に連行され、生徒会の権限で強引に貸し切りにした多目的ホールに押し込められた。

「まず、その猫背を直そうか」

「僕、お金持ってないです」

「いや、そうじゃなくて。猫背を直そうか」

 堀と福永は辛抱強く理都に接した。理都は子犬のごとく震えたままだ。

「取って食おうってわけじゃないんだから、そう怯えるなよ」

 堀が苦笑する。

 二人はそれぞれ簡単な自己紹介をした後、理都を徹底的に指導し始めた。

 平たく言うと、猫背を矯正し、ウォーキングの基礎を叩き込み、最終的に表情の訓練と滑舌の改善まで取り組んだ。

 結果として、理都は身も心もボロボロになる代償に、正しくなった姿勢と若干良くなったプロポーションを手に入れたのである。

「向田、どう? 見られるようになっただろ?」

 福永は向田を呼び出して、生まれ変わった(当社比)音羽理都を差し出した。

「さすが、福永は親の血を引いてるね」

 向田は満足げに理都の様子を品定めする。お前ら人を何だと思ってるんだ、今までの俺に失礼じゃないか、と思っていても口に出せない理都。

「あ、福永はね、親が姿勢矯正のプロコーチなの。ジムのトレーナーもやってる」

 そうですか、どうりで熱の入った指導のわけだ。聞いてないけどね。

「じゃあ、いよいよ着てもらうね。この服」

 結局俺は出演するわけね。ランウェイにね。別にいいけどね。

 理都が心の中でため息を吐く中、向田は手に提げていた大きなバッグから意気揚々と例のものを取り出し、みんなの前に見せた。

 自主制作の、洋服である。

「手芸部が総力を挙げて制作した、ユニセックスファッションです!」

 おー! と歓声が上がる。

 理都もこれには驚いた。

 予想していたよりも遥かに、その服は出来が良く、垢抜けて見えたのである。

 服のフォルムはメンズアイテムだったが、袖と胸元がきゅっと引き締められていて、ところどころ控えめなフリルがあしらわれ、フェミニンな印象も与えている。かつ、下のズボンは腰の位置にスカートのような切り返しがかかっており、なるほどこれはまさしく中性的な雰囲気にあふれた服だと感じた。

 そして、何より。

 襟元につけられた、綺麗なリボン。

 大き過ぎず、派手過ぎず、それでいて洗練された作りの、深紅のリボン。

 結び目に、パールに見立てた乳白色の輝くボタンがついている。

「……リボンだ……」

 理都は思わず、感嘆の息を吐いた。

 全員の視線がこちらに向く。

「あ、いや、えっと」

 なんて言い訳したらよいかわからず、しどろもどろになってしまった理都を、みんなは優しい目で受け止めた。

「似合うと思うよ、これ」

 向田が自信に満ちあふれた瞳を向ける。

 堀と福永も「音羽にぴったりの服じゃん」と言ってくれた。

「これで今年の青コレ最優秀賞は生徒会が取れる!」

 向田の言葉に、みんなが士気を高めた。

 青コレとは、青峰《あおみね》高校コレクション。つまりは生徒たちが主催する、ランウェイのモデルたちに最も美しい服を作成したもの、美しくメイクを施したもの、そしてモデル自身を採点するお祭りだ。評価者は教師たちと見物の生徒たち、一般参加のお客さんなど様々である。立場も趣も違う彼らが、一番いい人に票を入れる。

「……俺で、大丈夫なのかな」

 理都は相変わらずの日陰根性を炸裂させた。これではみんなの期待に応えられないのではないか。考えなくてもいいマイナス思考が理都の頭をめぐる。

「大丈夫だよ」

 向田葉菜が力強く言った。

「だって、音羽はユニークだもん」

 きょとんと、理都は呆ける。

 俺がユニーク? 今のは聞き間違いだろうか。

「ああ、わかるよ。何かお前って、おもしろいよな」

 堀が向田に続いた。周りも同調している。

「こういう、すごく難しい服を着こなせるのって、音羽しかいないと思うんだ」

 向田は意志の強い瞳をまっすぐに向けた。

 そこには嘘もてらいもからかいもない、誠実な態度があった。

 気弱な理都は、まだ胸の内でウジウジと逃げたがっていたが、彼らの自分に対する厚い信頼に、素直に感動していた。

 嬉しかったのだ。

「こいつならできる」と、信じてもらえることが。

 生まれて初めての、心躍る体験だった。

 気づいた時には、理都の口は青コレへの前向きな姿勢で締めくくられていた。

「ありがとう。俺、がんばるよ」


   


 季節は十月上旬。

 残暑の名残がまだ色濃く残る、暑い天気の中、青峰高校の生徒たちは額に汗を浮かべながらも明るい表情で登校していた。

 文化祭本番、初日である。

 青コレは午後一時。昼休憩が終わった頃にスタートする。

 モデルたちが歩く花道ステージは、学校のグラウンドの中心を埋めるように組み立てられている。左右の隅には出演者たちの控え室。ステージを囲むように簡易椅子が並べられ、我先にと陣取った生徒たちとお客さんが談笑をしながら開演時間を待ち遠しそうに気にしている。

「……人人人、みんなジャガイモ、ジャガイモ、ジャガイモ……」

 控え室で綺麗な服に身を包みながら奇妙な呪文を唱えている男が一人。理都である。手のひらに指文字を描き、真っ青な顔で「ジャガイモ、ジャガイモ……」とくり返す様は何とも不気味だ。

 理都の出番は二番目。かなり前の方のため、プレッシャーもひとしおである。

「背筋張らないとダメだよ、音羽」

 向田が力強くエールを送ってくれる。知らず臆病になっていた理都は、はったりでも気丈に振る舞おうと決意した。

 いよいよ時刻は迫ってくる。

 ステージの中央を見る座席には、理都のクラスメイトたちが列挙して押し寄せていた。あの音羽理都がランウェイ出演? どういう風の吹き回し? 明日は槍が降るのだろか、いやいや実はあいつはガラスの仮面の主人公ばりに演技達者で、俺たちに見せているあの地味なオーラはただのフリで、何か大きな裏があって……などと好き勝手に噂し合っている彼らが想像できる。噂を振りまいているのは江國に違いない。あのおしゃべりの妄想好きめ。

 などと邪推しているうちに、ステージは開演した。

 吹奏楽部の華やかな音色に合わせた、観客たちの手拍子。司会者の生徒の調子のよい声。今日だけは俺たち、私たちが主役だといわんばかりの、周りの弾んだ声援。すべてが賑やかで、まぶしくて、輝かしかった。

 一通りのオープニングセレモニーを終え、理都たちモデルは順番通りに一列に並ばされる。

 控え室から花道へは垂れ幕で覆われており、外からは自分たちの姿は見えない。理都は緊張と不安と微かな興奮を胸に、スタンバイした。

 吹奏楽部の演奏が終わり、場内は洒落た洋楽のBGMが流れ始めた。放送部が選曲し、流している。それぞれのモデルに合わせた楽曲を選んでいるので、一人が歩くごとに曲が変わり、場内の雰囲気もさまざまな変化を見せる。

「音羽に合うのは、これね」と、向田たちが選曲したアーティストは、理都は知らない名前だったが、彼らが誠意を込めて選んだ曲だ。信頼している。

 トップバッターのモデルが颯爽と垂れ幕から花道へ出た。自信満々に、胸をぐっと広げて、踏みしめるようにステージを歩く。観客から黄色い声が飛ぶ。モデルは余裕たっぷりに手を振ってみせた。見られることに慣れているのか、貫禄さえ感じられる堂々としたポーズだった。そのまま彼はリハーサル通りに中央ステージから戻って左側のバックステージへ行き、完璧なウォーキングで垂れ幕の向こうへ消えていった。

 続いて、理都が出る。

 スローなバラードが流れる。

 女性歌手の、艶のあるどこか悲しげなビブラートに乗せて、哀愁漂う歌が流れてくる。それでもただ悲しいだけではない、ロマンティックで甘美な声質。テンポはゆっくりでも、不思議な癒しを感じられるような曲だった。

 理都は一生懸命に毅然として歩いた。

 さっきのモデルのような自信などない。今の今まで教室の隅っこにいたような陰キャだった。急に自分を変えられなどしない。けれどやれるだけの努力はした。後はもう、運に身を任せるしかないのだ。

 なるようになれ。

 場内の雰囲気はしんとしていた。失笑はない代わりに、声援も飛ばなかった。観客は固唾をのんでステージ上の理都を見上げていた。まるで声を上げることすらためらうかのように、真剣に視線を注いでいた。

(何か、妙に静かになっちゃったな……)

 やはり、自分はその場の空気を暗くするしかできないのか。自分が目立つのは場違いだったのか。

 気弱で臆病な心が首をもたげる。

 泣きそうになった瞬間、理都は見つけた。

 控え室の袖口から、向田たちが顔を覗かせているのを。

 彼らが自分を見ている。見守っている。

 このまま怖気づいて泣くわけにはいかない。

 彼らに恥をかかせてはいけないのだ。

(よし、がんばろう! ウジウジしてる場合じゃないよ!)

 理都は己の心に喝を入れた。

 胸を張る。顎を引く。視線をまっすぐに。背筋を正し、目線は固定して、迷いのない表情を作れ。

 理都は中央ステージへ着いた。

 堀と福永から叩き込まれたポージングを決め、再び踵を返し、元来た道を戻っていく。

 自分のウォーキングも、ポージングも、たいしたことないのかもしれない。

 けれど自分は、逃げなかった。

 一瞬でも、一日だけでも、陽キャたちの世界へ躍り出たのだ。

 向田たちが作ってくれた、今日だけの特別な衣装。堀と福永が辛抱強く付き合ってくれた時間。

 すべて無駄にすることなく、理都はやり遂げた。

 時間にして数分にも満たない世界。

 バックステージを颯爽と歩き、垂れ幕の向こうへ消えていく理都。合わせて理都のイメージソングもフェードアウトしていく。

 寂しいが、これでいい。これでいいのだ。

 理都は、自分の殻を突き破ったのだから。

 垂れ幕が下り、次の出演者へ音楽が様変わりした頃、理都は一日分の疲労が体にもたれかかってくるのを感じた。

「……つ、疲れたぁー」

「音羽、お疲れ!」

 わっと、向田たちが理都に駆け寄ってくる。

「やったね! みんな見惚れてたよ!」

 向田は輝きに満ちた笑顔で、達成感をあらわにした。

「お前のオーラすごかったぞ!」

「何か、ミステリアスだった!」

 堀と福永が盛り上がってくれる。

(みんな……)

 ふと、理都はこらえ切れず涙を流した。

 一筋流れた涙は次々と目からあふれ出て、彼らに茶化されるまで子どものように理都は泣きじゃくってしまった。

(俺は、少しでも、自分らしく堂々とできただろうか)

 答えはわからない。

 けれど、みんなの反応があれば、それでいい。

 理都の心は暖かいもので満たされていた。


   🏫


 あれから数日。

 理都はクラスの中心的な人気者になったかといえば、特になっていない。相変わらず、無口で、ぼうっとしていて、時々ドジを踏んで、先生に当てられた授業でとんちんかんな回答を言ったりする、いつも通りの音羽理都のままだった。

 しかしもう「音羽? 誰だっけ」なんて言う輩はいないし、「音羽―、ちょっとジュース買ってきてくれ」なんてパシリにするクラスメイトもいない。理都の人権とクラスでのポジションは少しばかり向上した。

 理都は今日も、向田葉菜からもらった使用済みの深紅のリボンを、放課後にこっそり着用している。さらには向田が買ってプレゼントしてくれた色つきリップクリームとヘアピン、目元を少し盛れるクレヨンタイプのアイシャドウをささっと乗せ、江國や堀たちの前で素の自分をさらけ出している。他に誰もいない多目的ホールで。理都たちの秘密基地と化した、青春のたまり場で。

 音羽理都は、女の子たちが「可愛い」と認めるような、キラキラしたものが好きだ。

 いつか、そんな恰好で街中を歩いてみたい。あの時のランウェイのように、これが俺自身を表現するアイテムなのだと、俺はこれが好きなのだと、誇らしく生きたい。

 そんな時代は、きっともうすぐ来るに違いない。

 音羽理都は、リボンが好きだ。

 そして、リボンを好む、自分が好きだ。



   了




十一月八日水曜日

十一月です。今年はあと二ヶ月です。わーお。

久しぶりに執筆ができました。1200字ほど。夕方から始めたので、夜に続きができればいいなと思います。

相変わらず読書はできていないのですが、最近は散歩をしています。そろそろ新しい職場を見つけなければいけないし、体力作りをやろうと思っています。思ってるだけ(笑)ウォーキング程度だぜ。

てか秋のはずなのに暑くて、温暖化コノヤロー!と怒ってたのですが、ついに寒くなるみたいですね。やっとかーい。もうこの地球上で今生きている人間はみんな天才ですよ。うちら天才だな!

今日から少しずつ執筆量を回復させたい。ほどほどにがんばりまーす。


十一月十七日金曜日

しばらく短編の執筆をがんばってました。あともう少しがんばれば原稿用紙100枚近くの中編として出来上がりなのだけど、この作品、書いてるのしんどい……(汗)

こういうお話を書くのは苦手なのだなと気がつきました。うわーん。どうしよう。とりあえず保留にしときます。

それはともかく、昨日は推しの舞台を観に行って、心が満たされたまま家に帰って少し執筆してました。楽しかった~。昨日はハッピーな一日だったぜ!

今日はというと、雨で低気圧がやばいと天気アプリで言ってたので、一日巣ごもりの読書生活です。夕飯の後に少しでも書けたらいいなあ。

夕方にならないと書く気力がわかないのは、私が夜型人間だからでしょうか?せめて昼過ぎから執筆に取りかかりたいなあ。執筆時間を増やしたいのです。

理想は、昼二時半以降から執筆モードに入ること。モチベーションの上げ方が今後の課題です。うーん。


十一月二十日月曜日

今日は新しい職場の体験利用日初日でした。緊張した~。メンバー登録とオリエンテーションが中心だったので、本格的な作業の開始は二日目からですね。緊張する~。

プレッシャーに弱いのは昔から変わらないので、これはもうしょうがない。徐々に慣れていこう。

創作活動の方は、やっぱり今書いているお話が自分に向いてないと悟ったので、いったん筆を止めています。今は長編の続きに取りかかっています。十二月から本編の執筆に取り組みたいので、現時点でプロットを細かく詰めまくっています。しかしプロットって永遠にこねくり回してしまうので、キリのいいところで本編に行かなければいけない……。大事なのは本編なのでね。プロット作りはほどほどにしなければ。うむ。

果たして私は長編を何ヶ月で仕上げられるのかしら……?

理想は四ヶ月です。遅筆脱却を目指せ!


十一月二十四日金曜日

新しい職場の体験利用二日目。タイピングの練習とデータ入力を今回は覚えました。まだまだ緊張してるので、終わった後はどっと疲れが出てしまう。夜に少し創作できるかしら。無理せず行きましょう。

ただいま新しい趣味を探しております。サンリオが大人になってからどんどん好きになっていくので、「サンリオ沼にハマるのか!?」とドキドキしつつあります(笑)

後は、読書に当てる時間をもっと増やしたいですね。スマホをさわらない訓練をしつつ、本が身近にある暮らしを手に入れたいです。ずっと言ってるけどねコレ(笑)

最近、どかんとハマれる二次元を見つけられてないので寂しいです。サブカルチャーもっと盛り上がってくれ。

とりま今日は仕事をがんばりました。自分お疲れさま。


十一月二十七日月曜日

今日は病院へ行って薬をもらってきます。終わったら本屋をブラブラする予定です。

昨日、一昨日とスローペースながらも小説を進めてました。あともう少し、あともう少しだ、がんばれ自分。

原稿用紙で百枚目に突入したので、中編小説になりました。

本命は真冬に取りかかろうとしている長編小説なので、早く書き出したくてウズウウズしてます(笑) てかもう冬だけどね。今年は気温が高い年だった……。温暖化のバカヤロー!体調崩すんじゃい!


十一月二十八日火曜日

そろそろ長編のストックを溜めたくて、今取りかかってる中編小説を早く終わらせたい衝動に駆られている。あと今日考えついたことなんだが、ポンコツ体力なので調子がいい日にがんばって一点集中して書き、ストックが増えたらどこかに集中投稿!という方法が自分的にいい気がしてきた。短期集中型。

そして、公募なのか、ネット投稿なのか。そこが問題だ。

何作品か公募、一方はWEBサイトという形で様子を見た方がいいな、こりゃ。うむ。


十一月二十九日水曜日

風邪を引いてしまいました。嘘やん……(´;ω;`)。やっちまった……。今日は一日ダウン。早く治さねば。何か書きたいよー。


十一月三十日木曜日

おはようございます。風邪は治ったけど、女子の日週間に入ってしまい、今度はPMSでダウンです。今日の私は使い物にならなかった(;´Д`)。しょうがない。

夜は何とか創作をしたいですね。少しの文字数でいいから。

あと、明日からBB小説家コミュニティが始まります。楽しみだー。このコミュニティのおかげでどれだけ創作意欲が戻ったか!今回も参加します。いよいよ十二月からがんばります!倒れない程度に!

さて、明日から十二月です。すげーな、一年の早さ。

今年の創作ゴトは、長編を二つの賞に応募できたり、短編を量産して短編の賞に応募できたりと、公募がはかどった一年でした!今年の私はがんばった方だぜ!

この調子で来年も創作ゴトにどっぷりと浸かりたい。ファイトだ自分!

明日は二回目の仕事利用体験に行ってきます。正式利用になるまで、焦らずコツコツと。スローペースで真面目に生きるのがモットーです。

急がば回れ。我が人生。


総評

十一月はいつにも増して執筆がはかどらず、歯がゆい思いをしました。うーん。

原因を探ってみたところ、自分に合わないタイプのお話を作っていたのがフラストレーションの元になっていたみたいです。自分の苦手なジャンルや合わない話を作るより先に、自分が好きなものや得意なものをどんどん伸ばしていった方がいいですね。まだまだプロじゃないし、投稿作品なんだから、趣味に走っていいのだろうな。

まずは自分の「好き」をもっと極めていこうと思います。

私の好きなものは「女主人公」と「ファンタジー」と「冒険」と「バトル」!

これらをもっとたくさん書き、自分の職人芸と言われるまで極めたいです。

今月は自分を見つめ直す時間が多かったです。十二月のクリスマス時期あたりに、新作の執筆期間に入れればいいなと思います。

十一月は自分の不得意分野がわかっただけでも収穫だと思いましょう。私はよくがんばってる。ファイトだ自分!



あらすじ

どこかの世界、どこかの時代、『魔女狩り』に浮かれ騒ぐハロウィン期間の日本、東京。魔女界の中で男の魔女として生まれ育った界《カイ》、双葉《フタバ》、赤星《アカセ》の三人組は、界を中心にとある珍騒動を巻き起こす。

ドタバタコメディ風味の近未来ファンタジー短編小説。



 魔女狩りの季節はいつも隠れる場所に苦労する。人間界に行かなければいいだけの話なのだが、現在ここに出稼ぎに来ている身としては、そう簡単に済ませられる問題ではないのも事実で、結果として息をひそめて真夜中の住宅街をひっそりと歩いている。

 街灯にさえもびくびくしながら、双葉《ふたば》=ジェミニはさっと自分の家の扉の前に立ち、コンコン、と叩いた。

「赤星《あかせ》、いる? 俺だよ。双葉。ドア開けてくれない?」

「どうしたの? そのまま通り抜ければいいじゃないですか」

「馬鹿っ、魔女狩りだぞ、今は! いいから開けて。鍵忘れちゃったんだよ」

「ああ、そうだった。ごめん、ごめん」

 鍵がガチャリと回される音。直後に扉が開き、背が高くほっそりとした体型の優男が現れる。

 双葉は辺りを注意深く見渡し、人間が歩いていないことを確認して家の中に入った。

「ふう、毎年のことだけど、こればかりは怖いなあ。心臓ひやひやするよ」

「失念しててすみません。長く生きてると魔女狩りにも慣れてしまって」

 時々敬語が交じる彼は赤星《あかせ》=スコーピアスといい、双葉と知り合って百年ほどしか経っていないが、いろいろと話せる間柄の、気の置けない友人である。

(俺は最近やっと上級魔女になれたけど、赤星と界《かい》はとっくの昔に上級レベルだもんなあ……)

 誰かと比べたところで仕方のないことを、ウジウジ悩んでしまう性分が、双葉にはあった。自分だって人間よりは遥かに長い年月を生きているので、いい加減どんと構えるような気性の大らかさを見せようと、密かに自分磨きを行っている最中である。

「あれ、そういえば、界《かい》は?」

 先ほどから気配のない人物を探して、赤星に所在を訪ねるも、

「どこに行ったんでしょう? いませんね」

「ずっと家にいたんじゃないの?」

「そうなんですけど、おかしいな。さっきまで僕と二人でゲームしてたのに……」

 二人して仲間の居所を探る。はて、彼は忽然と姿を消してしまったようだ。

 と、双葉の頭に、とてつもなく嫌な予感が浮かんできた。

「まさか、あいつ……」

 すぐさま階段を上り、二階へ急ぐ。赤星もあわてて後についてくる。

 屋根裏部屋に続く南側の居室のドアを開けると、案の定、界=キャンサーが室内階段を使って天窓を開けようとしているところだった。

「お、双葉。おかえりー」

「界! お前なあ」

「まあ、見てなって。人間たちをちょっとからかってやるだけだよ」

 界は悪戯心にあふれた生意気そうな瞳をきらきらさせ、得意げに微笑んだ。

「からかうって、どうするつもりですか!?」

 赤星が心配そうに尋ねても、界は「後でお前らに武勇伝語ってやるよ!」と意気込んだ台詞を残し、さっさと窓から外に飛び出してしまった。

 ふわり、と彼の身体が重力を無視して浮かぶ。

 見事な空中浮遊である。界は身体的な能力を使う魔法を得意とする。これくらいは朝飯前だろう。

「人間たちがいきり立ってる今がいちばんいいタイミングだ」

「やめろって! 魔女狩りのやつら、そんなに甘くねえぞ! 特にここ数年は誰も捕まらなかったから、気合も入ってるって……!」

 忠告も空しく、界は意気揚々と家々の屋根を飛び移って行ってしまった。

「ったく、あのわからず屋!」

 双葉は舌打ちして、窓を閉める。界にはもともと慎重さが足りないのだ。

「十月は魔の季節ですね。ハロウィン週間に魔女狩りも始まるから、秋を楽しむひまもないですよ」

 赤星が深いため息を落とす。外は晴れているのだろう、いつもより輝きを増した満月が煌々と光っている。自分たちは男の魔女のため、月の輝きが強ければ強いほど、魔力も増す。それにより気持ちもハイになることがあって、界もその影響で普段の勝ち気な性格がさらに強く出ているのだろう。

「あいつは人間に悪戯仕掛けるのが趣味みたいなやつだからなあ。何だかんだ言って、人間が好きなんだな」

 双葉が若干寂しげにつぶやいた。界が心配なのだろう。そわそわと落ち着かない様子で部屋の中を歩き回っている。

「どれ、見てきましょうか」

 赤星は子飼いの使い魔を呼び出した。一階に降りて、フローリングの床をはがす。この家には下級の魔物が通りやすいように、隠し部屋などの仕掛けがあらゆる場所に設置されてあるのだ。

 はがれた床の下の抜け道から、にゅっと、赤星の下僕のサソリが出てきた。

「へぇ、何の御用で」

「界の行方を追ってくれないか? 今、人間たちの魔女狩りを混乱させようと外に出ちゃったんだ」

「へぇ、かしこまりました」

 サソリは再び床下にもぐると、仲間の使い魔を呼び出したようで、ザザザ、と複数の生き物が家の下を徘徊する物音が響く。赤星はさそり座の魔女だ。ああいう生物と関わりが深く、生まれた時から契約を交わしているという。

「あ……、呼んでる」

 赤星の脳波に使い魔のメッセージが送られたらしく、彼はいったん目を閉じて、脳の中で会話を始めた。しばらくして、ふっと目を開け、「うーん」と難しい表情を浮かべる。

「界、満月の影響でかなりハイになっているらしくて、遠くの街まで行ってしまったようなんです。やっぱり迎えに行きますか?」

 双葉は「世話の焼けるやつだこと……」と、赤星より一段と深いため息を長く吐いた。

「俺らがとばっちり受けるのも嫌だから、今日は家で大人しくしてる。あいつだからどうせ上手く逃げ切って戻ってくるに決まってるさ」

 双葉の提案に、赤星は(だいぶ彼に手を焼いてますね)と苦笑いをし、友人の案に乗って二人で真夜中のお茶会を楽しむ予定に変えた。


   ◇


 日が完全に沈み切った後の夜空は、例年にも増して冴え冴えとしていた。冷たい風がひゅうっと、魚沼《うおぬま》コウの首筋を撫でる。しんとした夜中の住宅街を歩くのは、魔女狩り同盟に加盟している男たちのみである。ざっ、ざっ、といつぞやの時代の軍隊のように、互いに息をひそめて、緊張と連帯感の空気を敏感に共有しながら規則的に歩く。ただいま魔女を捜し出すための巡回パトロール中である。

「寒……」

 魚沼は薄手の格好で外に出たのを後悔するように身震いした。何となく、この寒気は単なる冷気のためではない気がするが、そこらへんはあえて考えないようにする。

「お前、十月も中旬なんだからダウンくらい着ろよ」

 ベテランの年配者があきれたように、隣の魚沼を見て忠告した。

「夜でもまだダウンは早いかと思って……」

「そこが経験不足の証拠だ、若いの。魔女が活発になる十月の夜は、決まって気温が急降下するのさ。おまけに今日は満月がでかい。スーパームーンだってな。俺もさすがに今年ばかりは気合入れてるぜ」

「あのぅ、魔女って、いったいどんなやつらなんですか? 女?」

 尻込みして聞いてきた新参者に、ベテランは得意そうにうんちくを披露し始める。

「魔女は基本的には女中心社会だ。皆既日食の時にとても魔力の強い魔女が生まれ、皆既月食の時には男が生まれる。この目で見れた人間はいないから確証はない。諸説ある。ただ、そういう話だそうだ。

 魔女は、大昔は人間の手助けをしてくれたりしたそうなんだが、中世のヨーロッパであの有名な『魔女狩り』が大規模に行われてからは、すっかり人間を憎むようになって、それからは人間の前に姿を現さなくなった。どうにも、人間には入ることのできない『魔女界』という世界があるらしく、そこで暮らしているらしいな。で、時々人間の住む場所に現れるらしいのさ。ほとんどがいい話じゃねえ。聞いてる分だけ気分が悪くなるから、深堀りするのはやめときな。

 もともと、日本には魔女も魔女狩りも存在しなかったはずなんだがな。海を越えてこの島国にも流れ着いたやつらがいるらしい。俺たち『魔女狩り同盟』は、この機会を逃しちゃいけねぇのさ」

 ひゅうう、と風が途切れなく吹いている。先程から段々と風圧の勢いが増し、凍えるような体感温度になっているような気がしてならない。魚沼はぶるっと自らの身体を抱きしめた。

「それにしても寒いな」

 ベテランの男は舌打ちして、厚手のダウンのファスナーを一番上まで引き上げた。

 周囲が次第にざわつき始める。十月にしてこの冷風。まるでタイミングを見計らかったかのように下がり始めた外の気温。何か得体のしれないものが近づいているような、虫の知らせにも似た予感が走った。

 魚沼が、こりゃ家の中でじっとしていた方が幸せだったかなと己の行動を後悔し始めた頃。

「魔女だぁっ!」

 突如、誰かが叫び声を上げた。

 はっとして、周囲を注意深く見回す。緩んでいた意識が電流を受けて覚醒したみたいにクリアになる。

 どこだ? どこにいる?

 見通しの悪い夜の街の中、男たちは必死に気配を探る。街灯だけが頼りの闇の深い空間に、異質な存在を見つけ出そうと躍起になる自分たちがいる。これではどちらが滑稽かわからないなと、頭の隅で余計な思考回路が回った。

「いたぞーっ!」

 怒鳴り声が響いた。先程自分と話していたベテランの男だ。

 魚沼は、男の指さした方角へ、顔を上げた。

 それは屋根の上に佇んでいた。

 一目見て、見目麗しい男だと思った。

 顔の形も体型のバランスも実に見事に調和が取れていて、バーチャルショーのタレントでも対等に張れるかどうかわからないほど、その男は美形だった。女子なら骨抜きになりそうだ。鴉の濡れ羽のごとく艶やかな黒髪。瞳は色っぽく、かつ鋭く繊細に光り、何より彼自身から放たれるオーラというべきか、風格なるものがあった。

(魔女……!)

 魚沼の心臓が、音を立てて鳴った。魔のものを初めて見た興奮と、人ならざるものへの恐怖と畏敬の念が、混沌となって胸の内を荒らした。

 一人が、手にした武器を屋根の上の男に向かって投げつけた。

 投げられた武器――簡易ナイフは男とは見当違いの方角へ刺さった。緊張で手もとが狂ったのだろう。魔女狩り同盟は声高々に叫び出した。

「捕まえろ!」

「レーザーガンを出せ!」

 魚沼はあわてふためきながらも、腰に下げていたレーザーガンを持ち構える。これは人間には実害がない特殊な物質でできた光線銃であり、見た目は子どもが遊びに使うような水鉄砲に似た形をしている。が、魔女が苦手とする太陽光で蓄えられたレーザーが装備されており、十分に効果を放つ優れものだ。布団をベランダで干して取り込んだ後に匂いを嗅ぐと日向の匂いがするが、それも魔女が嫌がる匂いのため、取り込まれている。

 屋根の上にいる男は、こちらを見下げてくすりと笑い、挑発するように屋根と屋根の間を飛び回った。

「追え! 逃がすな!」

「男の魔女だ! 気をつけろ!」

 魔女狩り同盟は口々に屋根に向かって威嚇し、ビームを撃ち出す。男はひらりとかわし、およそ人には真似できぬ身軽さで家々の間を飛んで逃げていく。

「あの魔女、空を飛べるらしいな!」

「魔女はだいたい俺ら人間には予想もつかねえことするんだ!」

 仲間たちがやいのやいの言いながらレーザービームを手当たり次第に放出する。遥か昔の時代の、鉛の入った銃弾は、弾がなくなった途端に意味を為さなくなる武器だが、今世紀のレーザーガンにその心配はない。それに相手を殺すことが目的の拳銃とは違い、麻酔銃と同じような効果しかなく、後遺症とも無縁のため、魔女の他に珍獣捕獲の際にも用いられている。

 つまり、自分たち人間に魔女を害するような意図はない。魔女の方が人間を脅すため、正当防衛の手段として魔女狩りを実行しているだけだ。

 魚沼はそういう風に言い聞かされて、今日まで生きてきた。

 すばしっこい動きを見せる魔女を追い回しながら、魚沼は知らずと他の仲間たちから徐々に離れて、路地の奥まった場所に誘導されつつある事実に気づかずにいた。

 ただ無我夢中に、生まれて初めてこの目にした魔女を捕まえるために、レーザーガンを持って走り出す。

 相手の身体能力は目を見張るものがあった。こちらが懸命に走り込んでも、それをゆうに超える跳躍力で空高く飛び、ビームを放てば弄ばれるようにかわされ、背中に羽が生えているのかと疑うほど鮮やかに空中を舞うのだった。そして魚沼の攻撃が外されるたびに、喧嘩を売るかのごとく茶目っ気たっぷりにウインクしてみせる。完全に人間で遊んでいる。むかっ腹が立った魚沼は、周囲の状況も鑑みずに魔女の行方を追って突っ走った。

「待て、魔女め!」

 瞬間、相手の影がふっと消えた。

 消滅、と言葉が脳内に浮かび上がる。男は瞬く間に魚沼の視界から姿を消した。

(何だ、どうなっている!?)

 魚沼は確かな興奮を胸に、慎重に辺りを見渡す。そこで初めて今いる場所が自分一人きりである現実に気づいた。もしかして、誘導されていたのか。弱冠二十歳の青年は自らの未熟な実力に悔しく歯噛みする。

 恐怖と屈辱が心に迫ってくるが、気力で押し殺し、魚沼は恐る恐る近くの建物のそばに寄った。売却されたらしき、かつての住居。買い手がつかずにそのまま不動産屋にも見捨てられ、廃墟と化したのだろう。埃とカビの臭いがきつく立ち込める、崩れ落ちそうなボロ家だった。

 建てつけの意味を為さぬほど壊れた扉が剥がれかけており、中の様子が見えた。

 微かに聞こえる物音と、人ならざる者の濃厚な気配。

 ここに、いる。

 魚沼は意を決して、廃屋の中に入った。

 床が自身の体重で鈍くきしむ音がする。嫌な響きだ。

 ふわりと、香水のような甘い匂いが鼻をかすめた。鼻腔をくすぐる芳しい香り。嗅ぐだけで頭の芯がぼうっと酩酊するような――。

「人間さん」

 くすりと笑う声が聞こえた。

 はっとして目を見開く。いけない、意識をしっかり保て。己を叱咤激励して、魚沼は再度レーザーガンを構えて威嚇の姿勢を示した。

「そんな物騒なもん、捨てな。愚かで可愛い人間さん」

 魚沼はレーザーを撃った。

 鋭い放射線を描いて放たれたビームが男に襲いかかる。が、男は一瞬のうちにかわし、次の瞬間には魚沼の目の前に移動して、レーザーガンを叩き落としていた。手もとに走る痛み。男が魚沼の腕に手刀を当てたのだろう。レーザーガンは地面を転がって二人から遠く離れてしまう。

 男と向かい合う形になり、魚沼は知らず後ずさりした。

 相手は不敵な笑みを崩さない。

「名前、何ていうの?」

 にこりと微笑まれ、魚沼の額に冷汗が垂れた。この状況を完全に手玉に取っている。男は一歩ずつ魚沼に近づき、挑発するように目を細め、口の端を上げ、赤い舌をちらりと出す。

 ぞくりと身の毛がよだつほど、男の笑顔は妖艶だった。

「ひ、人に名を聞く時は、自分から名乗るのがマナーだ」

 かろうじて口から出たのは、情けないほど上ずった声だった。

「ああ、そうだったね。俺は、界。見ての通り魔女さ」

 唾を飲み込む。

 本物の魔女と対峙している事実が信じられず、魚沼は身動き一つできずにいた。一方で界と名乗った男は余裕のある態度を見せ、こちらをからかうような笑みを投げる。

 手のひらで転がされている気がして、猛烈に悔しいはずなのに、魚沼の心の中には男に対する震えるような畏怖の念があった。

(これが、魔女なんだ)

 間近で見るほど、男は美しかった。

 魚沼は思わず名を呼んだ。

「……かい」

「そう」

「……どういう漢字を書くの?」

「世界の、界だよ。君は?」

「俺は……、魚沼。魚沼コウ」

 男の身体から鼻をくすぐるいい香りがしてくる。香水でもつけているのだろうか。とろんとした眠気が襲ってくるような感覚がし、今すぐにでも彼の胸に身を預けて意識を手放したい衝動にかられた。おかしい、自分がこんなに戦意を削がれているなんて。けれどもう抵抗できない。この男から目を離せない。

「魚沼」

 彼が自分の名前を呼んでいる。こちらに手を伸ばし、何かをしようとしている。

(俺は、どうすればいい?)

 魚沼は身じろぎ一つできなかった。

 突然、激しい音が鼓膜を叩いた。

 あまりに大きな音に魚沼は飛び上がった。すぐにそれは部屋の寂れた窓ガラスが外から叩き壊された破裂音だと気づき、はっと顔を向ける。

「伏せろ!」

 誰かの怒声が響いた。魚沼はとっさに身を屈めて魔女から離れる。瞬間、すさまじい光の束が廃屋の中を照らし、目を細めているうちに再び耳をつんざくような衝撃音が聞こえた。

 レーザービームが何本も放たれたのだ。自分のような新人が持っている武器とは桁違いの、性能のいい良品だろう。

 次に視界に映ったのは、床に倒れ伏している魔女の姿だった。

「……界!」

 魚沼は彼に駆け寄ろうとしたが、仲間たちがどやどやと部屋の中に突入し、「仕留めたぞー!」と魔女を縄であっという間に縛り上げてしまった。

「魔物め! 人間を誘惑しようとしやがって」

 一人が気を大きくしたのか、動けない界の腹に蹴りを入れる。「ぐぅっ」と苦しそうな呻き声が界の唇から漏れ、魚沼は仲間を止めた。

「やめてください、暴力は!」

「お前、危なかったぞ。こいつのペースにはまりそうになってた」

 仲間は気が済んだのか、魔女狩りの責任者を呼びに現場から去った。

 向こうから初老の歳に差しかかった、厳しめの顔つきをした男がやって来る。

「魔女は人間をかどわかして自分たちの味方につけようとするのさ。『魔女信仰団体』を見てればわかるだろ。しかし、魚沼。よくやった。魔女の注意を引きつけてくれたおかげで、今年は大きい獲物が捕獲できた。連中も喜ぶだろう」

 男は魔女狩り同盟のリーダーを長きに渡って任されている。名を黒田という。

「連れていけ。男の魔女だ。魔力が強い。気をつけて運べ」

 魚沼があたふたしている間に、界は両脇から身体を持ち上げられて黒塗りのトラックに連行されてしまった。複数のレーザービームを当てられたのが効いているのだろう。いまだぐったりとして苦しそうに息をする界を心配し、魚沼は恐る恐る黒田に尋ねた。

「あの、彼はこの先どうなるんですか……?」

「んん? わしらのお得意先に差し出すのさ。魔女は高値で売れるからな」

「高値……? 売れる……?」

 それは、人身売買ではないのか。

 そう思いかけ、しかし魔女は人ではないので人間の法律が適用されなくてよいのかと一瞬納得しかけたが、すぐに(同じ生き物じゃないか)と反論が生まれた。

(ここ、もしかしてなかなかやばい組織?)

 魚沼は今になって魔女狩り同盟の男たちを疑う心を持ち始めたが、界は哀れにもトラックに押し込まれ、すでに抵抗もできず意識を手放していた。

 さらには魚沼も「手柄だ。お前もこの世界をいろいろ勉強しなさい」と強引に助手席に乗らされ、男たちの護送車に囲まれながら真夜中の街を走っていった。

 後には、人気のないしんと冷えた空気だけがあった。


   ◇


「界の馬鹿ーっ! あいつ、腕なまったんじゃないの!?」

 双葉の絶叫が戸建ての家にわななく。隣で赤星が両耳を塞ぎながら事の顛末を説明した。

「えっと、行き先は東京湾の方みたいで、外国に競り出す闇イベントに界を出品するらしいです」

「まったく、もう!」

 双葉は髪をかきむしり、イライラと部屋の中を歩き回った。

 こうしている間にも仲間は遠い異国へ連れて行かれてしまう。ドジを踏んだところはあきれてものも言えないが、助けてくれた時もたくさんある。今度は自分が彼を救出してやらなければ。

 そう意気込んだ双葉は、

「ちょっと、お前の使い魔貸して」

「ああ、乗り移るんですか?」

「そ、界と直接話せないかやってみる」

 赤星から手渡されたサソリを掴み、自らの額に持っていく。目をつむり、数秒経った後、双葉の身体から力が抜け、一匹のサソリは元気よく床を動き回った。

 双葉を支えてソファーに横たえた赤星は、「思念体になったんですね。僕のサソリは使い魔として長く生きているから、安定性も抜群だと思います。敵に注意してくださいね」と言い置き、界の居場所を伝えた。

「じゃ、行ってくる!」

 双葉はさっそく他のサソリとともに床下を素早く駆け抜けた。「行ってらっしゃい」と赤星の優しい声が聞こえた。


   ◇


 両脇に屈強な男二人がつき、レーザーガンを持って界の身体に向けながら歩くよう指示された。縄で両手首を後ろ手に縛られている界は、大人しく男たちの命令に従い、薄暗い地下通路を歩いている。地下通路、と称するにはあまりにも果てがないほど暗く、陰気な通り道だった。点いている電気といえば、トンネルの明かりに使われているような頼りないパネルの光。ここに長時間いる連中は神経を病まないのだろうか。魔女でなくても抑うつ状態になりそうだ。

「お前ら、太陽の光浴びたいって思わないの?」

「黙って歩け」

 右隣の男が苛立たしげにレーザーガンの先端で界を小突く。構わず「何で悪役って暗い場所が好きなんだろう」としゃべり続けると、煩わしそうに舌打ちが返ってきた。

「魔女は太陽を嫌うんだろ」

「全員がそうってわけじゃねえよ。俺はけっこう日の射す時間帯好きだし」

 実際、界は人間の活動する日中に外出して、彼らに混ざって生活したこともある。双葉からはやめろと何度も注意されるが、こちらに驚いたり、あたふた行動する人間を見ていると、どうも悪戯心を刺激されるというか、構ってやりたくなってしまうのだ。彼らは無力なくせに知能だけはやたら高くて、臆病で、すぐに死んでしまって、それゆえ必死に情熱を燃やして生にしがみつこうとする、何とも愉快でおもしろい生物である。少なくとも界はそう思っている。

 左隣の男がじろじろと界を凝視している。

「俺たちと変わらない姿かたちをしているな」

「まあね。同じ知的生命体ですから」

 右隣が再び小突いてきた。どうも短気な性格らしい。

「無駄な話をするんじゃねえ。お前は売られるんだ。商品らしく大人しくしてろ」

(ひどい言われようだなあ)

 通路を渡り終えた先に、広い空間が見えた。舞台の板の上に似た場所に放り出され、つんのめっているうちにまぶしいライトが界を照らし出す。およそ目を焼かれそうな光を当てられ、視界が慣れるまで時間がかかった。

 人々のざわめきが界の耳をつつく。見ると、目線の下の方に並べられている椅子に、堅気ではない業界の顔つきをした男たちや女たちが、互いに何かをささやき合っていた。「いい男だわ」「魔女は美男美女だらけというのは本当なんだな」「魔法を使われたりしないか?」「やつらは手足の自由が利かないと魔法を使えない。心配することはない」地獄耳の界には人間たちのひそひそ話など筒抜けだ。つまりこいつらは、自分を高値で買いつけるための闇オークションに参加しているのだ。

(ご苦労なことで)

 人間の浅ましさと愚かしさ、飽くなき好奇心には恐れ入る。

「五百万!」

 一人が声を張り上げ、札を高く掲げた。おぉっと場内がどよめく。

(ふざけんな。全然安いっつーの)

 界はふんっと鼻を鳴らす。

 息せき切ったように次々と札が上がり始めた。価格は徐々に値上がりし、みんなが競うように界の値打ちを勝手に決め始める。一千万、二千万とショーのようにヒートアップする人間たちの過激な盛り上がりに、テンションはますます興ざめていく。

 思わず、界はつぶやいた。

「お前ら、ヒマなの?」

 つぶやきで済まそうと思っていた声は思いのほか大きく響いてしまったらしい。場内の空気はしんと静まり、こちらに鋭い視線を投げかける人間たちの目が異様に光って見えた。彼らは怒っているのだ。とんだ逆切れもあるものだ。界にとってみれば、これは魔女に対する立派な犯罪行為であり、賭け事に参加しているここの人間たちは全員処罰されなければいけない。

「魔女を競売に賭けて何が悪い!」

 客の間から野次が飛ぶ。人間の悪癖に、開き直りという厄介な技がある。界は一切動じずに、再び大きなため息をついて彼らをはっきりと見下げた。

「お前らに罪の意識はないのかって聞いてんだよ。自分の娘や妻がどこかの誰かにさらわれて売られたらどうする? 魔女の立場に立ってものを考えられねえのか?」

 会場内から轟きのようなブーイングが響き渡った。

「魔女は人間社会を脅かす! 存在そのものが罪だ!」

「いつ俺らが攻撃してきたんだよ! 少なくとも俺は人間を害したことはない!」

 界は負けじと言い返す。場内も過熱して様々な暴言が飛び交う。

「魔女は魔法を使って人間を危険な目に遭わせる!」

「人間は科学を発展させて他の生物を追いやったけどな!」

 売り言葉に買い言葉の応酬は続き、互いに一歩も引けなくなった界と客たちはそれぞれに悪態をついて、場は一気に喧嘩の雰囲気が出来上がった。

「魔女は空を飛ぶ! あってはならない!」

「そっちだって飛行機で世界中飛んでるくせに!」

「魔女は美形しかいない! ルッキズムの塊だ!」

「ブサイクが僻んでんじゃねえよ!」

「魔女は性格が悪い!」

「それはこっちの台詞だろうが!」

 舞台袖から界を連行した先ほどの男二人が走ってくる。掴みかかろうと迫ってきた一人を、界は己の反射神経だけで軽々とかわした。両腕さえ封じられてなければ、たかが人間の男二人など敵ではないのだが、今の自分は魔法を使えない身である。壇上ですったもんだをくり返す三人に、客は煽りとブーイングを交えた言葉を次々と投げつけた。

「いいぞ、もっとやれー!」

「どうなってんだ、今日の競りは!?」

 現場の雰囲気に気圧されて右往左往する者もいる。界と男二人の取っ組み合いに乗っかって口笛を吹き煽る輩も、そそくさと逃げようとする及び腰のやつらも。

 一人が強烈な蹴り技を界に向かって放ってきた。レーザーガンの銃口で小突いていた方の男だ。間一髪かわしたところを男はすぐさま次の右ストレートを叩き出す。避け切れないかもしれない。殴られるのを覚悟して表情を硬くした界の頬に、しかし拳は当たらなかった。

 男が急に倒れ伏したのである。

「うわっ、どうした!?」

 相方の男があわてた声を出す。その隙に界は二人から距離を取って、何とか両腕を自由にしようと縄を解きに苦心した。

 と、足から腰にかけて生き物が這いずり上ってくるような、くすぐったい感覚が走る。

『界!』

 声は耳の奥の鼓膜に直接響いた。聞き慣れた旧友の顔が思い浮かぶ。

「おお! 双葉か」

『迎えに来たよ!』

 界の足を上ってきたサソリ数匹が、腰にたどり着き、後ろ手に縛られた縄を切り始める。

「ぎゃーっ、サソリ!」

「サソリがこんなに!」

 真下の客から悲鳴が次々と上がった。彼らは有毒生物が怖いらしい。床を埋め尽くすほどの数に戦々恐々と震え上がっている。

 赤星の使い魔であるサソリにとって、縄を切るのは朝飯前のようだ。自然界の生物よりも頑丈な刃で難なく界を手助けする。

 阿鼻叫喚となっている会場内で、界は自由になった両腕を上に向かってかざした。

 黒っぽい玉が両手の間に浮き出たかと思うと、辺りは真冬の気温のように寒々しい風が吹いた。

「俺は天気を操るんだよ」

 言葉を失くして突っ立っている男二人に、界は不敵に笑んでみせる。次の一瞬、両手を前方に突き出し、黒々とした丸い球体を二人に向けて弾き飛ばした。

 シャンパンのボトルが勢いよく開いた音のような、快活のいい効果音が鳴った。

 二人に注いだのは、シャワーのごとく豪快な雨。

 頭の上に、積乱雲に似た灰色の雲が広がっていた。とても狭い範囲内に集中的に豪雨が降り注ぐ。びしょ濡れになった男たちは大きなくしゃみを数回し、自らの身体を抱きしめて雨から逃れようと逃げ回るが、雲はしつこく追いかけてくる。

「ちょっとこらしめるだけだ。今回はこれで許してやる」

 界は舌を突き出し、いまだサソリの大群に悲鳴を上げている人間たちに「バイバーイ」と別れの挨拶を軽く済ませると、舞台上から地面に飛び降りた。

 ひらりと着地し、魔法を使って俊足のスピードで客席の間の通路を走り去る。界の得意技は身体能力を使った物理の魔法と、天候を少しだけ意のままに変える気象魔法である。隣を並んで走っているサソリを介して、双葉が話しかける。

『どこが出口だかわかってるの!?』

「やべえ、全然考えてなかった!」

『そんなことだろうと思った!』

 双葉が大仰なため息をついて界をにらんだ。肩をすくめる友人に、双葉の精神が乗り移ったサソリは再び足元を上って肩までやって来る。

 サソリの胴体が発光し、界の脳裏にイメージ画像のような空間把握図が生まれた。

『ごらん、ここの地図だよ!』

 頭の中に双葉の声が響く。サソリに憑依するだけでなく、界の頭にまで魔法を送る彼の器用さには敵わない。界は心中で舌を巻いた。

 ここはやはり闇オークションの会場だった。魔女を売りさばく人間たちの根城だ。世界の法律で魔女と人間が戦争をするのは禁じられている。そのため双方に危害を加えるようなことは互いにあってはならない。あるとすれば表の目をかいくぐって違法の魔女人身売買を行う、人間の風上にも置けないクズどもの集まる今日のような場合のみだ。

 このまま真っ直ぐ突っ切れば出口が見える。そこを出ると、幾重にも枝分かれした迷路のごとき地下通路が現れるはずだ。地上に出るには関係者しか知らない正しい道のりを行かなければならない。

「お?」

 界は声を上げた。行く手を阻む人影を数人見つけたからだ。全員の手にレーザーガンが握られている。自分たちを仕留めるつもりだろう。

 待つ隙を与えず、ビームが放たれた。

 界は足の先に魔力を集中させ、空中高く飛んだ。軽々とビームの光線を飛び越えた界は人間には真似できぬ素早さで、眼下に迫ってきた男たちの顔面に足蹴りをお見舞いする。ドカッ、と小気味いい音がするとともに男は後方へ倒れた。間近に接近されて混乱が生じた男たちの間に肘鉄、カウンターパンチ、飛び蹴りをそれぞれ繰り出し、武器は明後日の方向へ弾き飛ばされ、敵も急所を当てられてその場にうずくまった。

「じゃあなー」

 界は出口を通り過ぎた。

 次に見えた景色は、またもや視力が悪くなりそうな、ぼうっとした暗闇の地下通路である。灯されている明かりといえば、大昔の豆電球と呼べるほどの頼りない電光パネル。双葉に送られたルートを探して、注意深く辺りを見る。上も下も薄ら寒く、乾いた空気が散漫している埃っぽい空間だった。

『界、この先だよ』

 サソリ姿の双葉が刃の先を示した場所に、界はついて行く。周囲に人の気配は感じられず、慎重に進んだ。複雑に張り巡らされた通路は、慣れている者でなければ会場にたどり着くこともできないだろう。つまりあちらの客は、古くから魔女の人身売買に加担していた輩なのだ。人好きの界でも、ああいう人間には苦い感情しか湧かない。

 界の頭の中には、双葉から送られた脳内映像の見取り図がはっきりと写し出されていた。この迷路をどこからどう行けば地上へ出られるのか、手に取るようにわかる。界は特に苦労せず、複雑な行き方をするルートを正確に辿っていった。

 人間ならば数十分を要する地下迷路を、界は自らの魔法で俊足のごとくスピードを出し、ものの数分で目前にそびえる階段を見つけた。階段の先にはわずかな光と外の匂いが伝わってくる。あれだ。あれが出口だ。

「ひゃっほー」

『界、注意して!』

 突如サソリを介して双葉が叫んだ。

「どうした?」

『魔女狩り同盟が待ち構えてる』

「えぇ? またあいつらかよー」

 うんざりだ。こちらは何も悪いことなどしていないのに。

『もとはといえば界が余計な遊びを考えるからじゃん』

「……お前、俺の心読んだ?」

『読まなくても顔に出てるよ』

 双葉の憎まれ口は今に始まったことではないが、自分の向こう見ずな行動力も同じようなもので、結果、二人は顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。

 階段の半分まで上ったところで姿勢を低くし、魔女狩り同盟の連中に見つからないよう息を殺して、相手の出方を待つ。

 地上から漏れる光はごくわずかな強さしかなかった。気になって双葉に「ところで、今何時?」と尋ねる。

『明け方五時』

「マジ? そんな経ったの?」

『お前の居場所突き止めるのに、こっちは苦労したんだからな』

 双葉の小言が終わらないうちに界は意を決し、残りの階段を上がり、姿を現した。

 ゆっくり、緊張感を持って最後の段差を上り、魔女狩り同盟の構えたレーザーガンの前にその身を晒す。

 男たちは一様に表情を引き締めて一カ所に固まり、界の動き出しを待っている。

 界たちがたどり着いた出口は、巨大倉庫を模した秘密の地下組織の有名なアジトだったらしい。日の出の前に全員集合とは、何とも気合の入ったお出迎えである。

 頼りなげに揺れる潮の風と、海面の向こうの地平線からわずかに赤くなっていく空を見て、ずいぶん遠くまで運ばれてきたのだなと実感する。

 倉庫に、視線の先に見える海に、海に常駐するさまざまな船。

 界は両手を上げた。

「降参しますよ」

 男たちがレーザーガンを降ろす気配はない。どうするの? と双葉がサソリの姿で視線を送る。

 界はただじっと待っていた。

 数秒の時間が、緊張とともに流れていく。日が昇ろうとしている。暗い海面に光の粒が表れ始める。世界がだんだんと動き出す。新しい一日の始まり。

 界は早朝の時間帯が好きだった。しんとした闇から太陽が出、人々を起こし始める。真っ白な一日が地球上に生きるすべての生物に平等に降り注ぐ。魔女も同じだ。人とは違う次元に生きるものだが、言葉を話し、感情を持つ、限りなく人に近い生き物である。

 それをわかってほしいのだけれど。

 彼らにわかりようもないのなら。

 強行突破するまでである。

 男たちの間から突如「ひっ」と小さな悲鳴が漏れた。

 空気の変化は瞬く間にそこらに伝染し、何かが起きたことをその場にいる全員が敏感に察知する。

「痛い! 痛い!」

 悲鳴を漏らした男が、正気を失くしたように身体の痛みを連呼して転げ回った。不気味そうに男の様子を見つめていた仲間たちは、次第に恐れをなして少しずつ、悶え苦しむ仲間から離れていく。

 動揺が走る連中の中で一際大きな体躯の男が憎々しげにこちらをねめつけ、「何をした!」と怒鳴りつけた。その男も突然にびくりと身体を硬直させ、首筋を抑え苦しく呻き出す。まるで見えない異物が男たちの集団に入り込み、目にも止まらぬ速さで侵食していくようだった。

「クソがぁ!」

 自棄を起こした一人がレーザービームを撃ち出そうとする。が、動きを牽制する声が後方から届いた。

「動くな! 仲間をこちらに渡せ!」

 赤星だった。サソリの使い魔を呼べるだけ呼んだのだろう。辺りには再びのサソリの群衆がザザザ、と男たちを取り囲むところだった。

 八方塞がりとなった魔女狩り同盟たちはそれぞれがサソリの毒に苦しんだり、追い払おうと躍起になったり様々だ。もはや界と双葉どころではない。敵の注意がそれている今を狙って、赤星は界にサインを送る。

「魔女をたやすく扱ったらどうなるか、思い知らせてやるよ」

 ふいに揺れる空気。今までとは違う体感温度が魔女狩り同盟たちをさらなる恐怖に陥れる。頬がひりつくほどの強い風が一瞬のうちに巻き起こっているのだ。男たちの周りにだけ、限定的なつむじ風が発生していた。

 まるで人の奇声のような気味悪い風音が、敵たちの心身を震え上がらせる。逃げ惑うことも抵抗することも敵わず、魔女狩り同盟は全員、界の作り出した突発的な強風によって、勢いよく弾き飛ばされた。

 落ちる先には、港の海。

 派手な水音を立てて男たちは次々と海面に投げ落とされた。

 水の中ではレーザーガンなど役に立たない。そもそも豪風のせいでどこかへ飛んでいった。「冷てぇ!」「ぎゃーっ、溺れる!」「魔女め!」「おい、捕まれ!」と阿鼻叫喚の渦と化した波止場にて、界、双葉、赤星だけが意地悪く笑い合い、颯爽とこの場を逃げ去っていった。

「あれ、そういやお前ら瞬間移動の類はできなかったよな? どうやって来たの?」

「協力してくれる人間がいたんだよ」

 双葉がサソリ姿のまま界の肩にくっついて、答えを述べた。

「魚沼って人でしたよ」

「え、あいつ?」

「お知り合いですか?」

 赤星が指さした先に一台の軽自動車が停まっている。窓から顔を出した人物は、あの時誘惑した青年だった。

「界さーん!」

 魚沼はのんきに手を大きく振って笑みを見せている。界たちは素早くドアを開けて乗り込み、アクセルを踏んだ魚沼を合図に車はけっこうなスピードを出して現場から逃走した。

「界さん、よかった。ああ、会えてよかった! 僕のせいで危険な目に遭わせてごめんなさい! もうあんな連中とは関わりません! 警察も呼びましたから!」

 日本の警察組織は便宜上、魔女と人間との関係を円滑にしたいために、魔女に何らかの危害を人間が加えることを全面的に禁止している。魔女狩り同盟はほとんどが人間世界での反社会的勢力と密接な関わりがある。お縄になる理由は充分なのだ。

「これからは魔女が人間世界で暮らしやすいように、全面的に協力する立場の人たちと接触します。全部、界さんと出会えたからですよ!」

 魚沼は瞳をキラキラさせながら、案外に豪快な運転技術で車を飛ばす上に、魔女がいかに魅力的で蠱惑的で神秘的な存在か、興奮しながらしゃべり続けた。

「……お前、何か余計なことしただろ」

 双葉が界の首筋にサソリの刃をちょんと当てて小突く。

「いてて、ちょっと色仕掛けしただけだよ」

「界は調子に乗り過ぎ」

「それより、いつまでサソリに乗り移ってんだよ。先に元の身体に戻れよ」

 双葉と界の小競り合いが始まり、車の中は途端に馬鹿騒ぎとなる。最年長の赤星が「まあまあ、車内で騒がないでくださいよ」と困り顔で場を諫めた。魚沼は誰も聞いていないのに魔女の魅力のプレゼンを永遠に一人で行っている。各自が勝手に好きな話をして、自由気ままな魔女狩りの季節はこうして過ぎていった。


   ◇


 家に着くと、双葉がリビングのソファーで横になっていた。精神体を飛ばしても長時間肉体が耐えられるのは、彼のちょっとした自慢である。

 サソリが肩から下へ降りていき、界から去って軒下の隠し通路に帰っていく。次いで双葉がぱちりと目を覚ました。

 大きな欠伸を一つして双葉は起き上がり、「界に説教しなくちゃな」と形のいい目を細めて渋面を作る。

「そんな怒んなって」

「界の言えた義理じゃないだろ!」

 双葉は顔を赤くしてガミガミ言い始めるが、そのどれもに自分に対する愛情を感じ、界は心の中が温かくなるのを照れ臭い気持ちで隠した。

 赤星が再び二人の言い合いを「まあまあ」と制し、ホットミルクを作り始める。

「魔女狩りの季節はもう過ぎたし、お菓子がまだ残っていますので片づけましょう。双葉くん、そろそろ血圧上がりますよ。界くんもちゃんと反省して。みんなでお茶して、また実りある明日を迎えましょう。僕らはまだまだ生きているんだから」

 赤星がそうまとめると、二人も何だか落ち着いてしまい、三人でテーブルを囲む。朝が来て、日も高くなった時間帯だが、きっと数十年後も数百年後も、このメンツで何やかんやと騒がしくしているのだろう。魔女は長く生きる。今の時代、ほとんどの魔女が顔見知り同士だ。せいぜい飽きないように、ずっと馬鹿騒ぎをしていられれば、それが幸せというものだ。きっと。

 人間たちが活動する正午近くの日の下、一軒の家からやたらと賑やかな声がしばし聞こえていた。


   



久しぶりに日記を書く。

今日は新しい職場の体験利用日、初日。若干の緊張で胸がドキドキしてる。職場のスタッフさんは優しい人たちばかりだし、二ヶ月前に新しくオープンしたばかりの作業所なので、まあ、気楽にやっていこう。パソコンは得意じゃないけど好きなので、好きこそものの上手なれという精神で、気長に付き合っていきたいと思う。

朝起きれない身としては、午後からの作業はありがたい。今後の課題ではいかに朝きちんと起きれる生活習慣を身につけるかどうかだな。医者からもらってる睡眠導入剤をもっと調整した方がいいなあ。でもかれこれずっと調整してもらってるけど、なかなかベストな睡眠が取れないのだ。うーん。

午後五時半。体験利用初日が無事に終了。帰宅し、この日記を書いている。

ネット廃人になりかけていたので、しばらくネットやSNSから遠ざかる訓練をしている。紙の本を読んだり、ノートにペンを走らせていたり。ネットをしていない時間はこんなにもゆっくりと穏やかに過ぎていくのかと、忘れかけていた感覚を取り戻したような気分になった。

やりたいことと、目指すべき場所と、現実のあれやこれやがまったく噛み合っていないので、いろいろ自分の心情を整理する週間が必要だと感じた。

まず、自分が何を好きなのか、どういう自分になりたいのか。それをクリアにして、一歩ずつ進むために、日々努力をしようと思う。

私は書くことが好きなので、ブログや投稿サイトなどにいろいろな文章を発表し、ゆくゆくは筆一本で生活していきたい。遠い目標だ。そのためプライベートを執筆時間に当てられるような雇用を探し、仕事をしながら文章の修行に励んでいきたい。

と、ここまで書いて、夜の作業を終了しようと言いたいのですが、今日の夜はパソコンの調子が悪くてネットに繋げず、四苦八苦しているうちに寝る時間になったので疲労困憊でした。こういう時にポメラはありがたいですね。そんなに便利にならなくていいからデジタルオンリーの社会にはならないでくれ。アナログ世代には覚えなくちゃいけないことが多すぎて、いよいよ記憶力がバグを起こしそうだ。

そういった意味で、紙の本もなくならないでほしい。どんなに値引きがありがたくても電子書籍オンリーは寂しいのだ。でもきっともうそういう時代なんだろうなあ。紙の本が絶滅してしまうその日まで、私は紙書籍を愛好するぞ。それがオタクとしての、せめてもの愛情だ。(激重感情)

今日は体験利用もあったし、マイパソコンのハプニングもあったし、いろいろ疲れたぞ。さあ、寝よう。

いい夢見れますように。


十月七日土曜日 

今日は図書館に行って、YA文学一冊、ライト文芸一冊を借りてきました。若者文学の勉強のために読みます。推しの栞グッズも買ったので、本に挟みまくるぞー!読書好きにとって、栞は生活必需品なのだ。 

 ただいま昼三時過ぎ。創作をするか、読書をするか、推しの雑誌の整理をするか悩んでいます。うーん、どうしよう。 

ただいま夕方四時半。推しの雑誌を整理し、そのうえで読書に浸りましたー。わーい。 

 そして夜。新しいジャンルを広げるため、いろいろな投稿サイトを見て回ってたら寝る時間になりました。あっという間の時間泥棒。しかし某ジャンルはエロいですね!(笑) ずっと某ジャンルは読んで楽しむ側の人間だったので、書く方に回ったことはなかったのですが、なぜかというと、エロスを執筆するのは激ムズだからです。あのジャンルは高度な文章力が必要なのだ……汗 (まあどのジャンルもそうなのですが) 

とりま、これから何を書きたいのか模索中であります。がんばります。 


 十月十四日土曜日 

今日はひたすらプロット作成に一日を費やしてました。そしてまたオンライン講座に申し込み、小説の勉強をしていました。 

私はもがきながらも前に進めているのでしょうか? 

自分じゃよくわからないけど、また小説を書けるようにがんばりたいですね。 

最近、季節の変わり目がダイレクトに身体に響くようになりました汗。秋の入り口は魔の季節。今はマジで具合悪い。 

調子が悪いなら悪いなりに、できることをしようと思います。プロットを作り続け、形にできるようにがんばります。

今日はこれにて。 


 十月十五日日曜日 

今日は読書だけしていました。一時間弱。読書の秋。 

季節の変わり目はいつもしんどくなります。自分のポンコツ体力が憎い。コノヤロー! 

気長に様子を見ながら、創作活動に励みます。執筆はちょっとお休み。 

夕方まで小説講座のオンライン授業を受けていました。身になる話がいっぱいあって、収穫じゃ~。

 私の進む道が、明るい未来でありますように。 人生は尊し。 


 十月十六日月曜日 

今日はプロットを練り練りに練っていました。設定や人物の掘り下げがまだ甘い弱点があるので、もっと深く掘っていきたいです。下準備にもっと時間をかけて、いいものを作っていきたい。 

自由になった時間は読書をしていました。今日は五十分ぐらい読んだのかな?短編集はキリのいいところで終われるので、気軽に読めるのがいいですね。 


 十月二十五日水曜日 

今月はインプットの季節だと思って、執筆はお休みしています。十一月に何かしらの創作をしていたいなあと思ってるけど、どうかな。 

今、小説とアニメと音楽とをつまみ食い程度にたしなんでいます。なかなかコレ!という創作物に出会えなくて、「推し」ができるというのはなかなかレアな体験なのだなとわかりました。 

私の創作物は、誰かに「推し」だと思ってもらえるのかな。わからないけれど、いつかまた新しい一歩を踏み出したいです。 


 十月三十日月曜日 

今日は午後~夕方までプロットを詰めに詰めていました。夜の時間も集中できたらいいなあ。今日の自分はがんばった方じゃないかな。 

十一月中に、このプロットの本編を執筆し始められたらいいな。まずはプロットをしっかり作り、いざスピード勝負で書き上げて、全部完成したら全体を通して推敲しようというアドバイスをいただき、その通りにやってみようと思いました。がんばります! 

あとは、自分自身を激励する力ですね。がんばれ自分!私は物書きだ!自己暗示!ファイヤー! 


 十月はお察しの通りダウンしてました。この時期は毎年こうなるのでしょうがない。別名、泉花凜の風物詩。 

来月、何かを始められるような体調に戻したいです。 

周りを見て思ったこと。 

私のポンコツ体力は、みんなのようにはうまく行かない。だから執筆時間、集中時間は同じでなくていい。人より原稿に向き合った時間が短くても、真剣に書いているのであれば、私はきちんとがんばっている人なのだ。気にするな! 

一日八時間労働ができる人がいれば、そうじゃない人がいる。それと同じで、会社員のように執筆できる人がいれば、そうじゃない人がいるのだ。私は後者だ。 

文字数や時間の長さは気にしなくていい。物語に真摯に向き合えるかどうかだ。 

スポ根みたいになってしまった。でもまごうことなき本音です。 


 ここまで読んでいただきありがとうございました!感謝!  





九月二日土曜日 

九月になりましたね。暑いままですが、とりま秋の入り口に入ったので気持ちとしてはほっと一息ついてます。暑いがな! 

昨日の私はとてもがんばりました。八月の私はだいぶアグレッシブに活動しました。短編小説を四作品ほどコンスタントに応募し、長編を二作品応募。八月の私よくやった!(自分を褒めるスタイル)

さて、九月の目標は、読書量とインプット量を増やすこと。インプット内容は、流行ものよりも、良質な本や漫画、アニメを体に流して、作家としてのレベルを上げていきたいです。 

最近は児童文学に興味があります。つまりは全年齢向けのストーリー作りを勉強したいです。日進月歩。物書きはみんなそう。コツコツと書き進めるのみ。 


九月六日水曜日 

今日はTSUTAYAに漫画を返却、本屋を物色、家に帰宅。 自宅では新作プロットの大詰め作業をして、四時近くに本編執筆を始めました。ただいま約1400字。もし夜にまた書けたら2000字近くまで執筆文字数行けるかな? まあ、今日はここまでにして休んでおこう。今日の夜は自由時間さ。 

最近は再び本を買い過ぎて金欠なので、図書館を利用します。本当は小説にお金をきちんと落としたいけれど、生活費の諸々があるため図書館に頼りっぱなしです。ごめんよ作家さん。 

前回は二冊とも一般文芸を借りて、読んだ後心がずっしりと重く来てしまったので、次は一冊を文芸本、もう一冊をライト文芸にしてバランスを取ろう。 

しかし通うのに交通費が数百円かかるので「くあぁっ!」となりますね。(怒りの舞)チャリで行ける場所に造ってくれ、地元よ。(小説一冊買うよりは安いので元は取れてるか……) 


九月十日日曜日 

今日は映画を観に行きました。外出できていくらかリフレッシュになりました。次はブックカフェに行きたい。 夕方はお休み。夜になったら執筆活動を始めたい。 

最近はWeb文芸誌を読んでいます。Webコバルト(オレンジ文庫)とかWebアスタ(ポプラ社)、yomyom(新潮社)などなど、数多の文芸誌がWebで読めるようになったから、お金もないし図書館も近くにないよーって人にはスマホで読めるWeb文芸誌をお勧めしたい。 

横書きの小説を読むのにもやっと慣れてきました。結局、文字を追うことが好きなのさ。文学は不滅なり。 


九月十四日木曜日 

今日は嬉しいことがありました。応募した小説が中間選考を通過しましたーーっ!!!!やったーーーー!!!!嬉しいよぅ(泣) 

初めてちょっとした結果を出せたので、泉花凜はむせび泣いております(´;ω;`)。 

これをバネに、これからも公募に挑み続けます!宣言!私の進む道は間違ってないぜ! 

書くことは救いである。夢を見ることは残酷で、呪いだけど、私の人生を支える杖でもあるのだ。私はそう信じている。 

今日も元気に生きます!! 


九月十七日日曜日 

おはようございます。今日は午後から時間を見て執筆。夜からまた執筆というスケジュールで行こうと思います。 

午後七時。執筆はしたものの、この時間まで総文字数500字でした汗。ありゃ……。夜は何かしら進めたいです。今日の調子はそんなものだと思って、ほどほどにがんばります。 

バトルものを書いた反動で、癒し系ストーリーを書いてるけど、また反動でバトルものに戻りたくなってきた(笑)。私の優しさなんてそんなものよ(笑) 私は女主人公が縦横無尽にバトルや冒険を繰り広げる物語が好きだぜ!! 


 九月十九日火曜日 

今日は役所にもろもろの書類を提出する日だった。夜に600字ほど執筆。昼~夕方は書けずじまい。最近、字数がまったく進まん汗。あきらめて読書しようか、推しを見ようか。うーむ。 

いろいろ読みたいし、書きたいのに、スマホいじりの呪いにかかって時間を大量に無駄にしてしまう日々を過ごしています汗。スマホを違う部屋に置いてきてしまおう。あいつは危険だぞ!触ったら最後、悪夢のように人間の貴重な時間を吸い取っていくんだ!用心しろ!(←お前がな) 

全然関係ないけど、「夢を見る」ことは残酷な面もあり、呪いでもあるけど、私は、自分の人生を支えるものでもあると思うんです。「夢を見ないで働け」みたいな台詞は、私は人には言いません。いや「働け」は言うけども。「夢を見るな」は人の自由を奪う言葉だから、私は言わない。 私は、「夢」は「支え」だと思います。私は物書きを夢見ているし、好きなことに人生を捧げて生きていきたい。私にとっての「幸せ」は「心から好きな何かに夢中になっていること」だから。 

さて、今日は読書をして寝ます。お休み~。 


 九月二十五日月曜日 

今日は病院へ行く日でしたが、どうしても朝起きれず、行けずじまい。その後一日中具合が悪くて横になっていました。うーん、今日はしょうがない。 

昼過ぎ、頓服薬を飲んで、夕方ごろに何とか回復。今は本を読み、スマホのブックレビューを書いてます。 

季節の変わり目の影響で、体が変化の対応に追われてるのかもしれない。今日はゆっくり過ごそう。 小説はただいま執筆が途中で止まってるので、今日はお休みして、メンタル回復を待とう。あまり思い詰めすぎるとよくないね。メンタルが衝撃受けたら頓服薬で対処だ。回復したら書くのだ。書くのが私だ。 


 九月二十六日火曜日 

今日は行けずじまいだった病院へ行きました。予約外診療だったので、待ち時間が二時間くらいかかりました……。疲れた……。泣 

帰りに図書館に寄って本を二冊借りました。一冊は詩集。二冊目は映画のノベライズ本。 

かなり疲れた一日だったけど、ラジオを聴いたり、図書館で時間を過ごしたりして、気持ちを回復させました。最近はラジオにハマりつつあります。話し方が柔らかい感じの人のラジオを探して、聴いてます。 

これからは、少なくとも週2~3日は外出して散歩しようと思います。外の空気を吸うことは大切。 今日は一日の大半を病院に使った……。まあしょうがない。そんな日もあるさ。夜は好きなことしよう。 


 九月は自分の課題がはっきりと表れた月でした。自分は創作で何を語りたいのか、何に興味があるのか、模索する月となりました。十月もこの傾向は続くと思います。 

十月は、まず自分軸で世界を見て、創作して、そしてインプットをたくさんしたいです。最近小説が書けないから模写も再開したいですね。十月は修行の時。自分に興味を持ちます。 

何よりも無理し過ぎないように、マイペースに物書きを続けたいです。楽しいから書くのだ。 書くのが楽しい気持ちを取り戻したいです。自分が楽しい世界を書こう。がんばるぞー。  



八月二日水曜日 

おはようございます。朝八時。実は真夜中に目が覚めて、そのまま眠れず、せっかくだからと今まで執筆してました。原稿用紙三枚ほど進んだ。いぇーい。 

今日は一日、執筆を集中できそうです。某有料創作コミュニティに入ったの大正解だったな。性に合ってる。今は楽しい気持ちで執筆できてる気がします。 

最近は家に居続けて気持ちがちょっと寂しいので、外出しようかな?暑さがヤバイけどな! 外の空気を吸ってきます。書を捨てよ、街へ出よう。なんてね。 

午後三時。某アイディア・プロローグのみの賞に自作品を応募してきました!よし! 夕飯の後は執筆したいです。後は、新プロットを進めました。よし! 


八月三日木曜日 

某有料創作コミュニティが楽しすぎてライターズハイ起こしてる(笑) 今までにない感覚。かつてないぐらいに創作にのめり込んでる。わーお。 

とにかくコミュニティ内の雰囲気が良くて、みなさん優しくて、ナイスキャラばかりで(笑)、孤独感が吹き飛びました。一人で塞ぎこんでたらいけないんだなと身をもって実感。好きな人同士でワイワイ楽しくやる幸せを思い出しました。私の青春おかえり~!(ライターズハイ) 

幸せは、歩いて来ない。だから歩いて行くんだよ。世の理ですね。一つ学びました。日々精進! 

創作は楽しんでなんぼの世界や。 


八月六日日曜日 

某有料コミュニティのおかげで執筆がかなり捗ってます♡昨日は二千字以上三千字未満を書きました!いまだかつてない執筆速度。 

あと、コミュニティとっても楽しくて、創作活動がますます幸せです。 勇気を出して行動を起こすことが大事。今回で新たな学び。 

さて、今日は自由時間を楽しみ、昼過ぎ~夕方~夜にかけて執筆したい。今日は夕立が来るとの天気予報なので、耳栓をしっかりはめて、タイプライターのポメラを使ってコツコツ書きます。がんばりまーす。 


八月九日水曜日 

今日は台風の影響で低気圧がヤバイからか、具合が悪い……(汗) 執筆は一日お休みしようかな……。本を読もう。今日は一日読書だ。書けない日はインプットなのだ。 

やっぱり八月前半期、がんばり過ぎたみたいだ。調子に乗ってごめんよ、自分。 自分の執筆量の目安は平均で二千字程度なのだと自戒して、それをあまり超えないように気をつけよう。 

今日は文庫本二冊を行ったり来たりしてました。ザ・つまみ食い。二冊ともエンタメ小説です。エンタメは正義! 明日、何か書けるといいなあ。 


八月十日木曜日 

今は午前九時。早朝に目が覚めて、ヒマだから執筆をし、千字ほど書きました。まずまずの文字数。午前は自由時間です~。 

今日は家のことをいろいろして、昼過ぎ~夕方~夜というスケジュールで長編に取りかかることができたらいいな。 

午後六時四十分。パソコンは開いたけれど、続きは書けていない。夜にがんばりたいけど、少しメンタルが疲れてしまった(汗) 暑い~ダルイ~夏は大変な季節だ~(汗) でも私の場合、季節の変わり目に突入したらもっと調子が崩れるから、今のうちに書きたいのよ。つまずかないように。 うーん。うーん。今日は書けるかどうかわからん。うーん。 まあ、1時間は集中しよう。後は野となれ山となれ。 

書けてない時間は読書していました。結局、本が好き。 


八月十二日土曜日 

今日は映画を観に行こうと思ってたのに、まさかのチケットが完売(!)して観に行けず……!映画館満員だってよ……!このご時世にすげえ……!明日にまた出直してきます。 夕方から、今書いてる長編のポイントまとめを紙のノートに書いてました。夕飯を終えた夜に執筆に取りかかろうと思います。あと資料本の読み込みをしよう。 今日はこれでおしまい。 


八月十五日火曜日 

台風が長く上陸していて、気象病がひどく、執筆が進みません……(´;ω;`) 今日はブログだけupし、後は漫画を読んでました。ちょっと今は小説が読めない……。

だからこそ私は声を大にして言うのだ。漫画は本と同じく、良質なインプットですよと。漫画は良き文化なり! 

しばらく人と会えていないせいで、気分がとても寂しいです。何もこんな日に台風来なくてもいいじゃない……。 

話は変わって、最近は「観たいなあ」と思ってる映画が早いスパンで上映終了してしまうのが多くて、焦る。タイミングを逃すとあっという間に行き遅れるのだ。もうちょっとロングな視点を持ってくれ、映画業界よ……。いや、難しいかな。 

今は出版の世界も映画の世界も、ていうかどんな世界もサイクルが早くて、目が回ってしまいますね。 自分のペースで毎日を過ごそう。 


八月十七日木曜日 

今日はずっと観たかった映画をやっと観に行けました。いぇーい。

私の好きな「女主人公」と「バトルアクション」要素だけでも最高なのに、構成がすごくて、エンタメに徹した映画なのがもう潔くて、大変満足した二時間弱でした。わーい。 

帰りに図書館で本を二冊借りました。昼ごはん食べて、好きな映画を観た元気で家に帰った後、掃除をしました。いぇーい。午後はもう自由時間さ。好きに過ごすぜ! 今日は一日充電します。

明日は仕事に行って、土曜日からまた何か書き出せたらいいなあ。長編の続きか、新作の短編を書くか、何かしら取りかかりたいなあ。 


八月二十日日曜日 

昨日は短編小説をいくつか書き、投稿サイトの作品の更新をして、長編の続きを少し進めました。一日合計三千字近くの執筆量。いまだかつてない執筆量。昨日はがんばりました! 

今日はというと、午後から本屋へ行き、本を一冊購入しました。お目当ての雑誌は見つけられず、代わりに買った一冊です。本が好きだぜ。 夕方から夜にかけて執筆したいと思います。または、今日は読書に費やそうと思います。 


八月二十六日土曜日 

夏が終わりますね。暑さは終わらないけどね。終わってくれー! 

久しぶりに雷鳴が遠くの方でゴロゴロ鳴ってます。遠雷。今年の夏は酷暑だったけど、雷の数は少なかったな。雷ギライの私としては良き夏でした。クソ暑かったが!!

さて、そんな私は今、短編小説を量産しています。書きかけの長編が途中で詰まってしまい、一向に進まなくて、気晴らしに短編へ逃げています。 

今年の前半、何だかんだ言いながら公募をがんばれたので、後半はじっくり長編を進めたいのですが、難しいかな……? 

とりま、今年前半の活動歴。 


一月 ノベル大賞応募。 

五月ごろ。note創作大賞応募。 

八月 集英社ライトノベル大賞IP部門に二作品応募。 

八月 集英社みらい文庫プロローグ賞応募。 

九月 文藝×monogatary文学賞応募。


ほら!けっこうがんばったでしょ?(自画自賛スタイル) 

個人的な目標は、年二回、長編を書いて公募に出したいな。私の体力的にハードなのだが、まずは小説体力というものを身に着けていこう。毎日パソコンを開く努力!椅子に座る努力!これだけは徹底しよう。書けなくてもいいから、起動する。よし。うん。がんばる。   


八月はヤバイ暑さの中、意外とがんばれた気がする。九月~十月は季節の変わり目でたぶん倒れそうだから、そのへんは様子見として、コツコツ物語を書き続けます。無理しないように、マイペースでゆっくりと、書くのをがんばります。自分お疲れさまでした~。(^▽^)/




暮れかかる夕空に 一筋のひこうき雲 

明日を夢見て 僕らは今日も眠りにつく 

世界が何のために在るのかわからないけど 

ただみんなで笑って生きていきたい 


頼りなかった宇宙よ 

僕らは空を行く 

君の痛みを抱きながら 

光を明け渡す 


そのままで そのままで 

何も疑わずに いれたらいいね 

いられるよね 

だって 愛してる 


昔の話を 懐かしむこともある 

だけど 新しい一日が 

いつでも大切だから 

君が何を思ってるのか 言葉にできないけど 

伝えきれない優しさを 

ちゃんと気づいてるさ 


ゆっくりと 少しずつ 

道を作っていこう 

焦んないでいいよ 

憶えてるよ 

二人の世界さ 


いつか君が 銀色のリングしてくれたら…… 

そばにいたいよ 

いられるよね 

ずっと 待ち続ける 


いいわけがましいユウウツも 

ふいに落ち込む気持ちも 

たった一度の人生の

ほんの彩りさ 


頼りなかった宇宙よ 

僕らは空を行く 

君の痛みを抱きながら 

光を明け渡す 


そのままで そのままで 

何も疑わずに いれたらいいね 

いられるよね 

ずっと 愛してる 




「詩集 空色神話」は以上をもって完結いたしました。最後まで読んでいただき、誠に感謝いたします!ありがとうございました!<(_ _)>


 


バレンタインまで あと少し 

街中が 甘く色づく 

約束なんて 儚いもの 

それでも そばにいたい 

今際の果てまで ずっと歩むわ 


すべてを受け入れるなんて 

神様がしていればいいんだよ 

そんなの生き物には許されてないよ 

当たり前に日々を過ごしていこう 


わかってるの 幼いことは 

理屈抜きで恋してる あなたに 

何でもない時も 楽しく 

しゃべっていたい 

I Love You 


バレンタインまで あと少し 

チョコレートを ケーキに見立てて 

同じように笑って 無邪気な私たち 

Only Song 


毎日は海のように 穏やかに荒れ狂う 

私たちの季節の変わり目 


近づけば 近づくほどに 

お互いの思想 すれ違う 

心ごと投げ出して 

抱き合いたいね もう一度 

Happy Life 


幸せな視線 求め合って 

街中が 淡く期待する 

私だけの気持ちを 

あなたに贈りたい 

I Need You   





社会から外れた女たちの目が 

年老いていく 猛烈なスピードで 

わたし遠い街で生きてた 

わたし過去の恋人がいた 

もっと小さな頃は 好きな子とままごとをして 

お気に入りの服 ずっと着てたわ 


ときどき 幸せな眩暈を起こして 

勝ち取った生活にうっとりする 

自分がだれかわからなくなる 

嬉しい悲鳴ね 


だけど 

だけど 

だけど 


お元気ですか 

今何をして生きてますか 

好きな人はいますか 

手紙を送りたい 

今どこにいますか 


大勢の中に居場所を見つけたこと 

多数派にまわれたこと 

今でも後悔していない 

手放すことはない 


だけど 

だけど 

だけど 


木漏れ日のような光に充てられ 

わたしが支配される 

涙が頬を伝う 

お元気ですか 

今どこにいますか 

だれと一緒に居ますか 

すべてが懐かしいですね 



会いたい